子どもが幼い頃は難しくても、小学校に入学すると自分でできることも増えてきたので、家計収入を増やすためパートを始めようと考える人も多いかもしれません。その場合、まだまだ手がかかることも多いため「フルタイムで働くのは難しいからまずは週3日から」と検討することも少なくないでしょう。   本記事では、厚生年金に加入してパートで働くケースを想定し、週3日と週5日で将来受け取れる年金額に大きな違いがあるのか解説します。今回は話を分かりやすくするため、国民年金保険料は満額納付して未納や滞納、免除等の期間はないものとします。

老後にもらえる公的年金は主に2種類

一般的に老後に受け取れる公的年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類が存在します。
 
「老齢基礎年金」は、国民年金保険料を納付することで受給資格が得られるもので、満額の場合、2024年度の年金額は月額6万8000円で一律です。一方で、「老齢厚生年金」は老齢基礎年金と異なり、納付する保険料や加入期間によって将来受け取れる年金額が変化するのが大きな特徴です。
 
老齢基礎年金は現役時代の収入規模に関わらず一定なので、将来もらえる年金額を増やすためには老齢厚生年金を充実させる必要があります。
 

「週3日」と「週5日」でどのくらい変わる?

「時給1200円・1日8時間」の仕事を始める場合、週3日だと月額11万5200円、週5日だと19万2000円の収入となります。
 
厚生年金保険料や健康保険料は標準報酬月額によって変化します。協会けんぽの2024年3月分からの保険料額表(東京都)によると、報酬月額が11万5200円だと標準報酬月額は11万8000円、19万2000円の場合は19万円をベースに算出されます。
 
老齢厚生年金は、加入期間や加入中の収入金額によって受け取れる金額が変化し、主に報酬比例部分や経過的加算、加給年金額を合わせて計算されます。今回は便宜上報酬比例部分のみでシミュレーションしてみましょう。
 
年金額計算の基礎となる報酬比例部分は加入期間によって計算方法が異なります。
 

・(2003年3月以前)平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
・(2003年4月以降)平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

 
今回のケースでは、いまからパートに出る予定なので「2003年4月以降の計算式」が適用されます。平均標準報酬額は先ほどの協会けんぽの保険料額を参考に週3日勤務の場合は11万8000円、週5日勤務の場合は19万円とします。それぞれ10年間働いて厚生年金に加入すると年金額はどのくらいになるのでしょうか。
 
計算式に当てはめると、平均標準報酬額が11万8000円の場合の年金額は約7万7610円(月額約6467円)、19万円の場合は12万4966円(月額約1万413円)です。月額ベースでは約4000円の差が出ることが分かります。
 

勤務日数を増やす意味はある?

「月々4000円程度の差であれば週3日から5日に増やしても意味がないのではないか」と考える人もいるかもしれません。確かに短期的な金額だけみると費用対効果が悪く見えるかもしれませんが、老齢年金は生涯にわたって受け取れるメリットがあります。つまり長生きするほど得になる可能性が高いといえます。
 
仮に、65歳から90歳までの25年間で毎月4000円の差が発生すると仮定すると、120万円の差と無視できない規模となります。
 

まとめ

本記事では、「時給1200円・1日8時間・週3日」のパートを週3日、週5日勤務する場合で将来受け取れる年金額はどう変化するのか解説しました。
 
もちろん考え方や価値観、生活環境などは人それぞれですが、生涯にわたって受け取れる老齢年金のメリットを考えると、できる限り働く時間や日数を増やして収入を上げるのも選択肢の1つとなると思われます。
 

出典

日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
全国健康保険協会(協会けんぽ)令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 老齢年金ガイド令和6年度版
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー