2025年から新たな大学進学の無償化制度が始まります。その内容は「子どもを3人以上扶養している世帯」が利用できる授業料などの免除であり、従来の大学無償化制度よりも幅広い家庭が対象になります。 世帯年収を問わず利用できる点が特徴で、極端ではありますが3人の子どもがいて全員を医学部に通わせて、入学金や授業料の免除を受けることも可能となる制度です。   本記事では、2025年から始まる大学無償化制度について、現時点で決定している対象範囲を紹介いたします。

大学無償化で子ども3人を医学部に通わせることは可能

2025年からスタートする大学無償化は「扶養する子どもが3人以上の世帯」が対象であり、かつ所得制限がなく、対象となる学校は6年制である医学部を含む大学、短大、高専、専門学校などが対象です。そのため金額などの要件に当てはまれば、年収500万円の家庭でも3人の子どもを医学部に通わせることは可能となるでしょう。
 
「本当は3人以上子どもがほしいけれど、大学進学にかかる費用が心配で子どもは2人までと決めている」と、子育てや教育にかかる費用の負担を考えて、子どもをあきらめている世帯も多いといわれています。2023年12月に閣議決定された施策は、「多子世帯でも経済状況にかかわらず大学まで進学させられるようになり、理想の子どもの数を持てる」ことを目標としています。
 
これまでも大学進学に関する授業料免除や給付型奨学金などの制度はありましたが、2025年からは授業料・入学料免除の対象範囲も広がり、より多くの家庭が恩恵を受けやすい制度となります。
 

新しい大学無償化の対象範囲と金額について

2025年から始まる大学無償化制度は子ども3人以上が扶養内であれば利用できるもので、1人が大学を卒業し扶養から外れると利用できません。そのため3人の子どもが全員新たな無償化制度を利用することは不可能ではありませんが、時期的に難しいといえるでしょう。
第一子が卒業して扶養する子どもが2人になったり、子どもが1人・2人世帯だったりと、このようなケースはこれまで通り困窮世帯に限り給付型奨学金および授業料等減免が利用できます。
 
無償化となる上限額は現行の制度と変わらず、国公立大学の場合は入学金が約28万円、授業料が約54万円になり、国公立短期大学では入学金が約17万円、授業料が約39万円免除となります。
 
これまでの支援制度では所得制限がありましたが、現在はたとえ年収が高くても、3人以上の子どもを全員大学に通わせるのは簡単なこととはいえません。2025年の新制度では所得制限が撤廃されて、年収の高い・低いに関係なく、授業料や入学料の免除が適用されます。
無償化のイメージは、子どもが何人いても大学にかかる金銭的な負担を最大2人分にすることと、同時に扶養する子どもの数が多く家計が圧迫される時期に負担を軽減する考え方で進められています。一方で、現行の制度で利用できる給付型奨学金や貸与型奨学金に関しては、これまで通り年収による制限があることは注意点です。
 

子どもが2人以下でも現行の大学無償化制度は利用可能

2025年からの大学無償化は子どもを3人以上扶養する世帯が対象ですが、子どもが1人・2人世帯が損になることはなく、これまでの授業等減免や給付型奨学金など大学無償化制度が利用可能です。現行の大学無償化では世帯収入条件がありますが、住民税非課税世帯でなくても対象であり、貸与型奨学金は年収約1100万円までの世帯が利用できるため、自身の家庭が対象となる制度は積極的に利用しましょう。
 

まとめ

2025年からの大学無償化は、3人の子どもが扶養内にいる世帯が対象です。所得制限がなく、世帯年収500万円で子ども3人全員を医学部など6年制の学部にも進学させることも可能とわかりました。
新制度は授業料免除以外の従来の制度とも併用できるため、子どもの行きたい大学へ進学できる世帯も増えることが予想されます。
 
子どもが卒業して扶養から外れたり、子どもが2人以下だったりなど多子世帯以外は、現行の制度を利用して少しでも家計の負担を減らしましょう。
 

出典

文部科学省 多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化について
文部科学省 学びたい気持ちを応援します
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー