働く時間や頻度の自由度を求める人の増加により、アルバイトやパートタイムなどの「非正規雇用」を選ぶ人が増えています。しかし、アルバイトで生活し続けることはできるのでしょうか。フリーターとも呼ばれる「非正規雇用」の2人暮らしにおけるお金の実情についてご紹介します。

正社員・正職員以外の平均給与

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、正社員・正職員の平均賃金33万6300円に対し、正社員・正職員以外は22万6600円でした。男女別では、男性の正社員・正職員36万3600円、正社員・正職員以外25万5000円、女性の正社員・正職員28万1800円、正社員・正職員以外20万3500円という結果が報告されています。
 
ただし、「正社員・正職員以外」には契約社員や派遣社員も含まれているため、アルバイトだけの収入ではありません。また、新卒直後を想定した20〜24歳の場合は、平均19万4800円(男性20万2000円、女性18万9800円)という結果でした。
 

2人世帯の平均生活費

総務省による2023年(令和5年)の「家計調査報告」では、2人以上世帯の消費支出は、1世帯当たり1ヶ月平均29万3997円でした。内訳としては食費が8万6554円、住居費が1万8013円、光熱・水道費が2万3855円などとなっています。
 
なお、上記の消費支出以外にも、生活していくためには健康保険料や年金保険料、雇用保険料などの非消費支出が生じます。
全国健康保険協会の令和6年度保険料額表から、東京都を例にして算出した場合、令和6年3月以降の標準報酬等級18(220,000)では、健康保険料は2万1956円、厚生年金は2万130円と、社会保険関連で毎月約4万2000円が給与から引かれることになります。
 
正社員・正職員以外の男性と女性で平均給与を想定して算出すると、合計の収入は45万8500円となり、収入から支出を引くと約12万円が手元に残る計算になりました。
 

非正規雇用労働者の老後問題

前述通り、厚生労働省の調査によると、正社員・正職員の平均賃金は33万6300円、正社員・正職員以外は22万6600円です。正社員と同様に厚生年金に加入していても、支払っている保険料が少ないため、正社員・正職員以外は受け取れる年金が少なくなると考えられます。
 
賃金でも約1.5倍の差があるため、貯金などの資産形成に使えるお金も限られています。そのため、老後資金の準備が十分にできない可能性があります。
 
独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した調査によると、退職金が支払われている正社員・正職員が72.1%なのに対し、有期雇用フルタイムは14.8%、有期雇用パートタイムは7.0%、無期雇用パートタイムは12.1%と、支払われていないケースも多く報告されています。
 
アルバイトで生活する場合、正社員雇用で働いている人が受け取れる退職金を老後資金へと充てられません。そのため、老後資金の不足から65歳を超えても働き続けなければならないことが想定されます。
 

生活することはできるが老後が心配

アルバイトのみでも同棲を続けることはできると考えられますが、年数がたつにつれて同年代がリタイアするなかでもアルバイトを続ける必要が出てくる可能性が高いため、あまりおすすめできる方法ではありません。また、体調を崩して働けなくなった場合には、収入面でも心配です。
 
一度アルバイトで自由に働きながら、条件がよい会社などがあったら転職を検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

総務省 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要
全国健康保険協会協会けんぽ 令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)
国税庁 民間給与実態統計調査結果
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
独立行政法人労働政策研究・研修機構 「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の活用状況等に関する調査結果 企業調査編
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー