スーパーやコンビニでは、弁当や惣菜類を買ったときにお箸やお手拭きを無償で提供してくれるところがほとんどです。通常は買った個数や人数分に応じてもらえますが、頼めば少しだけ多くもらえることもあるでしょう。   しかし、あまりにも過剰な数を要求すると、法律に触れる可能性があることをご存じでしたでしょうか。今回は、スーパーやコンビニにあるお箸やお手拭きを必要以上に持ち帰った場合のリスクについて詳しく解説します。

本来必要な数を超えて持ち帰るのはマナー違反

お店に置かれているお箸・ポリ袋・段ボールなど無償提供の備品類は、お店側が好意で提供しています。持ち帰ってよいのは「購入した品に対して必要な数」に限るため、必要以上に持ち帰るのはマナー違反といえます。
 

最悪の場合「窃盗罪」として立件される可能性がある

店舗の備品を必要以上に持ち帰る行為は、「窃盗罪」に該当する可能性があります。無償提供のお箸や段ボール類は備品であり、所有権は店舗側に帰属します。
 
許容範囲は店舗の裁量によりますが、常識的な範囲を超えて持ち帰る行為が立件された場合には、窃盗罪が適用されて10年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられるかもしれません。
 

罪に問うかは店舗側の判断による

窃盗罪が適用されるかどうかは、店舗側の裁量に委ねられます。注意のみに留める店舗もあれば、最初から窃盗罪として立件するところもあるでしょう。罪状を問う場合は店舗側の事前通知や措置の有無も考慮されますが、立件するかどうかは店舗側の判断によります。
 
ただし、今回のケースでは店員に頼んでお箸を追加でもらっており、また追加数も3膳のみです。無断で持ち帰っているわけではなく、またそれほど多くの数を持ち帰っているわけでもありませんので窃盗罪の適用は難しいと思われます。
 

注意書きがなくても原則禁止

お店によっては、「お一人様1点までです」「商品を購入した方に限ります」など張り紙が貼られているところもあります。しかし、張り紙がないからといって無制限に持ち帰ってよいわけではないため、あくまで必要最低限数と捉えるのが一般的な解釈といえるでしょう。
 
また張り紙で周知しているにもかかわらず、必要な数以上を持ち帰った場合には、罪に問われるまではないにしても店員から注意される可能性は十分高いでしょう。さらに注意を受けたうえでさらに同じ行為を繰り返すと、改善の余地がないとして警察を呼ばれる事態も考えられます。
 
いずれにしても、無償の備品類を必要以上に持ち帰る行為は避けたほうがよいでしょう。
 

持ち帰りすぎると窃盗にあたる備品類

次に、スーパー・コンビニ・飲食店に置いてある無償の備品類について解説します。以下のものは持ち帰りすぎると窃盗罪が成立する可能性があるため、常識の範疇に収まる量に留めましょう。
 

製氷機の氷

スーパーマーケットやデパートには、生鮮類やアイス類の鮮度が落ちないように製氷機やポリ袋を無償で提供しているところがあります。製氷機の氷も立派な備品ですので、必要数以上に詰め込んで持ち帰ると窃盗罪に該当します。そのため、最低限商品が劣化しない程度にしましょう。
 
実際に製氷機の氷を10kg以上持ち帰ろうとした人が現行犯逮捕された事例もあります。このように明らかに度を超えて、かつ悪質と判断されるケースはその場で逮捕もあり得るでしょう。
 

ポリ袋

スーパーでは、生鮮類の液体漏れ防止や野菜の包装用にポリ袋が無償で提供されています。こちらも必要数以上に持ち帰ると、窃盗罪が適用されるかもしれません。
 
基本的に食品を入れている分は問題ありませんが、ポリ袋単体で持ち帰る行為は必要最低限とはいえないでしょう。1枚だけなら問題ありませんが、事前に店員へ確認しておくのが無難です。
 

調味料類

回転寿司やお弁当屋などテイクアウトの惣菜や弁当を取り扱う店舗では、パッケージングされた食卓調味料類が置いてあります。こちらも店舗の備品であるため、必要数以上に持ち帰るのは禁止です。
 
具体的な内容として、以下の調味料類が挙げられます。

・焼売や肉まん用のからし
 
・牛丼用の紅ショウガ
 
・寿司や刺身用の醤油
 
・焼き肉用の牛脂

調味料類を持ち帰るのは、対応した商品を購入したときだけにして、必要最低限の量だけ買い物カゴに入れましょう。
 

お箸やポリ袋が少し多くほしいなら店員に確認しよう

店舗側が無償で提供している備品類を持ち帰るのは、基本的に必要最低限の数に限ります。それでも少しだけ多くほしいなら、勝手に持ち帰らず店員の方に「もうあと3つだけ持って帰ってもいいですか?」と確認しましょう。少し程度なら許容範囲である店舗も多いため、確認をとっておいたほうがトラブルを起こさずに済みます。
 

出典

e-Gov法令検索 刑法 (第三十六章 窃盗及び強盗の罪)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー