17日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。



・日経平均は3日続落、一時3月安値割り込むも前引けにかけて下げ幅縮小

・ドル・円は小動き、方向感を欠く展開

・値下り寄与トップはアドバンテスト<6857>、同2位はファナック<6954>



■日経平均は3日続落、一時3月安値割り込むも前引けにかけて下げ幅縮小



日経平均は3日続落。前日比66.75円安(−0.17%)の38404.45円(出来高概算9億4000万株)で前場の取引を終えている。



16日の米国市場はまちまち。ダウ平均は63.86ドル高(+0.17%)の37798.97ドル、ナスダックは19.77ポイント安(−0.12%)の15865.25、S&P500は10.41ポイント安(−0.21%)の5051.41で取引を終了した。国際通貨基金(IMF)による経済成長率の上方修正や予想を下回った住宅関連指標を受けて、寄り付き後はまちまち。その後、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェファーソン副議長が、インフレが長期化した場合の高金利長期化の可能性を指摘すると金利が上昇し、相場の上値が抑制された。



さらに、パウエルFRB議長は経済が強く、利下げに向けたインフレの進展が不十分で現行の金利を想定以上に長く維持する可能性に言及したため売り材料となった。ただ、次の行動が利下げであることには変わりはないことから売りは限定的。良好な成長期待に終盤にかけてダウは再び買われ底堅く推移。一方、金利高が重しとなりナスダックは下落となった。



米国株が高安まちまちだったなか、前日の大幅安の反動が先行し、東京市場はやや買い優勢で取引を開始した。日経平均も前日比プラスでスタートしたが、ほぼ寄付きを高値に上げ幅を縮小し一気に前日比マイナス圏に突入。米10年債利回りが4.68%台まで上昇したことで、国内金利も上昇。長期金利が前日比0.010%高の0.875%をつけたことから、大型株中心に弱い動きとなった。



日経平均採用銘柄では、総務省が3月に続き2度目の行政指導を行ったと伝わったことからラインヤフー<4689>が大幅安となったほか、中部電力<9502>、関西電力<9503>、東京電力HD<9501>など電力株も売られた。このほか、ENEOSホールディングス<5020>、オムロン<6645>、三菱自<7211>、住友鉱<5713>が下落。日経平均採用以外の銘柄では、マネーフォワード<3994>が下げ止まらず。



一方、好業績を材料にレゾナック<4004>が急騰し年初来高値を更新したほか、川崎汽船<9107>、商船三井<9104>、日本郵船<9101>の海運株もそろって上昇。このほか、フジクラ<5803>、三菱重<7011>、川崎重<7012>がしっかり。日経平均採用以外の銘柄では、サービス値上げなどを発表したネオジャパン<3921>が急騰し、2021年10月以来の高値を付けた。



セクター別では、電気・ガス業、石油・石炭製品、鉱業、パルプ・紙、証券・商品先物取引業などが下落。一方、海運業、化学、その他製品、精密機器、機械の5セクターのみ上昇した。



前場の日経平均は、3月12日の取引時間中の直近安値38271.38円を一時下回る場面が見られた。一気に38000円台を割り込み、75日移動平均線が位置する37786円水準を意識した大幅安も警戒されたが、前引けにかけては下げ渋る恰好となった。半導体関連の上昇が日経平均の下支えとなっており、日経平均は相対的にTOPIXよりもしっかり。後場は引き続き為替睨みの展開となりそうだが、売り一巡後に値を戻した東京エレクトロン<8035>の動向次第では、日経平均は後場切り返す可能性もある。



■ドル・円は小動き、方向感を欠く展開



17日午前の東京市場でドル・円は小動きとなり、154円61銭から154円73銭の狭いレンジ内で方向感を欠く展開。米連邦準備制度理事会(FRB)は引き締め的な政策を堅持する構えで、ドル買い継続。ただ、日本の為替介入への警戒で円売りは縮小した。



ここまでの取引レンジは、ドル・円は154円61銭から154円73銭、ユーロ・円は164円19銭から164円49銭、ユーロ・ドルは1.0612ドルから1.0635ドル。



■後場のチェック銘柄



・AGS<3648>、エコモット<3987>など、4銘柄がストップ高



※一時ストップ高(気配値)を含みます



・値下り寄与トップはアドバンテスト<6857>、同2位はファナック<6954>



■経済指標・要人発言



【経済指標】



・NZ・1-3月期消費者物価指数:前年比+4.0%(予想:+4.0%、10-12月期:+4.7%)

・日・3月貿易収支:+3665億円(予想:+3455億円、2月:-3778億円)



【要人発言】



・パウエルFRB議長

「米国経済はかなり強い」

「最近のデータ、インフレを巡る一段の進展が欠如していることを示唆」

「最近のデータを受け、利下げに向けたインフレ確信には一段と時間がかかる可能性が強い」

「12カ月のコアPCEは2.8%でほぼ変わらず」

「政策が機能するためさらに時間をかけることが適切」

「高インフレが持続した場合、FRBは必要な限り現状の金利を維持」



<国内>

特になし



<海外>

・15:00 英・3月消費者物価指数(前年比予想:+3.1%、2月:+3.4%)

・15:00 英・3月生産者物価指数・産出(前年比予想:+0.6%、2月:+0.4%)

・G20財務相・中銀総裁会議(ワシントンDC、18日まで)