ハクサイなどの葉物を中心に野菜の価格が高騰している。異例の暖冬で生育が進んで例年より早く収穫されたり、3月の収穫期に急激な気温低下で生育不順になったりしたためだ。市場への供給量が減り、県内ではハクサイが例年の2倍、キャベツは例年の3割増しの価格で販売しているスーパーもある。価格が落ち着くまで1カ月ほどかかる見通しで、消費者にとっては我慢の時期が続きそうだ。
 「天候に左右されるとはいえ、ここまで高値が続くことは珍しい」。大玉村のスーパー「プラント5大玉店」で青果チーフを務める佐藤明さん(55)は表情を曇らせる。
 佐藤さんによると、春は暖かくなって葉物野菜を安く売れる時期だが、例年より1.3〜2倍の価格になっているという。ハクサイは鍋需要が落ち着き出した現在でも1個600円前後で、例年の2倍近くの価格になっているという。柔らかい食感で、春に人気を集める「春キャベツ」も例年より3割高い1個260円前後で販売している。
 「大型連休明けまで」
 レタスやトマトなどの価格も高騰しているという。桜の行楽時期が重なり、飲食店の需要も増えてくることから、佐藤さんは葉物野菜の価格高騰は5月の大型連休明けまで続くと予想している。店内では1個売りの割合を減らし、ハーフサイズなどサイズを小さくして買い物客が手に取りやすいよう知恵を絞っている。佐藤さんは「野菜は食の基本になる。少しでも安くすることで、手に取っていただければ」と話した。
 スーパーなどの買い物客は価格高騰に表情を曇らせている。棚倉町の自営業佐久間信司さん(56)は「野菜を食べたくても高くてなかなか買えない」と話し、安値の日に半分サイズのレタスを購入したり、もやしや豆苗(とうみょう)など価格変動が小さい野菜を買ったりして家計をやりくりしているという。同じく棚倉町の40代女性は「冷凍野菜を買うなど、工夫して野菜を購入している」と話した。
 自家製野菜を提供
 葉物野菜を大量に使う飲食店にも影響が出ている。伊達市梁川町にある「食堂よしかわ」では、店主の原田好三さん(79)が「高い値段でも野菜を買うしかない」と嘆いた。豚カツの付け合わせとしてキャベツの千切りなどを使うことから、自ら栽培する野菜も使用しているという。原田さんによると、自家製野菜を使っても、野菜の仕入れ額は昨年同期よりも1割ほど膨らんだという。ただし、メニューの価格に転嫁しない考えで、影響を受ける春になる見込みだ。