神戸大学は30日、溶連菌の感染を抑制する酵素阻害剤を発見したと発表した。

神戸大学大学院工学研究科などは、主に子どもが感染する「溶連菌」の感染を酵素阻害剤「Mn007」が抑制する効果があることを発見。

■手足の壊死を引き起こし死に至ることもある

一般的に『溶連菌』と呼ばれる溶血性レンサ球菌は、通常は風邪の症状で済むが、毒性の強いものだと手足の壊死を引き起こし死に至ることもある劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」を発症することもある。

「人食いバクテリア」とも呼ばれる劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者数は去年、過去最多の941人となった。

■分解酵素の働きを無効化 筋ジス治療の研究で使用されていた薬

大学によると、溶連菌は人体に感染する際にDNA分解酵素を分泌するが、「Mn007」はこの分解酵素の働きをほぼ無効化することがわかったという。

「Mn007」は元々、筋ジストロフィー治療の研究で使用されていたもので、人体に有害な物質だということだ。

大学は今後、酵素阻害剤を無害化し、溶連菌の治療薬の開発につなげたいとしている。