オレンジジュースが今、スーパーから姿を消す品薄状態になっている。

アサヒ飲料のバヤリースオレンジ(1.5リットル)や森永乳業のサンキストオレンジ(200ml)など、大手飲料メーカの一部商品では相次いで販売休止に追い込まれ、代替え商品が登場する事態にまでなっている。

原因は何なのか。日本果汁協会の川村和彦専務理事に聞いた。

オレンジ果汁の在庫が枯渇

ーーなぜオレンジジュースが品薄に?

2021年のブラジルからの輸入量が大幅に減りました。

オレンジ果汁は、濃縮して冷蔵や冷凍して日本に持ってくるので、数年間は日持ちします。

為替相場で安い時に買って、日本で貯蔵して、それをジュースにしていくのですが、2021年の輸入量が大幅に減ったために我が国の在庫もそれに伴って減り、22年、23年は何とか製造してきましたが、ここにきて在庫が枯渇したという状況です。

ーーオレンジの輸入は6割がブラジルから?

日本の輸入シェアの大体6割がブラジルからです。

輸入量が減った2021年以前から、「カンキツグリーニング病」という柑橘類の木が枯れる病気や、大雨や日照りなどの天候不順で、ブラジル国内でオレンジの不作が続いていました。

それによってブラジルのオレンジ果汁の在庫が少なくなり、世界中への輸出量が小さくなりました。

日本は“円安”で買い負け

日本はオレンジ果汁の大半をブラジルからの輸入に依存しているが、その供給量は今、3分の1まで減少している。

さらにアメリカも2022年、2023年のハリケーンの影響でオレンジが不足し、ブラジル産のオレンジをめぐる奪い合いが起きている。

こうした中、歴史的な円安に見舞われている日本は競争力が弱く、他国に買い負けていると川村専務理事は指摘する。

ーーアメリカのオレンジ不足も日本に影響?

生鮮の果物としてのオレンジと、加工されたオレンジ果汁とを分けて考えると、スーパーで売っているオレンジはカリフォルニア産が目に付きます。

しかし我が国のオレンジ果汁は、アメリカからのものはほとんどありません。
もっぱらブラジルとメキシコからです。

日本の果汁不足の直接の原因はアメリカのオレンジ不足ではありませんが、アメリカもオレンジが不足すると海外から調達するので、その競争の中で、日本は円安で買い負けするということがあります。

ーー2022年、2023年の日本国内のオレンジ果汁の輸入量は?

共に前年比で2〜3割ほど輸入量を増やしています。
よって最近、輸入量が減ったということではありません。

日本は、年間5〜6万キロリットルのオレンジ果汁が必要ですが、2021年は3万キロリットル台と約半分に減ってしまいました。特にブラジルからの輸入量は3分の1に減りました。

その後、2022年には約4万キロリットル、昨年の2023年は約5万3000キロリットルとだいぶ戻していますが、まだ足りていません。

2021年の輸入量が大幅に減ったことで国内の在庫が不十分になり、ボディブローのように効いている状況です。

輸入量は回復したが、値段は急騰

こうした状況の中、セブンイレブンではオレンジに変わり“国産みかん”を使用した新商品が登場した。

各社が対策に動く中、今後の回復見込みについて川村専務理事は、円安の動向とブラジルの供給力次第だと話す。

ーー値段も高騰?

2021年の輸入価格は、1リットル267円だったのが、2023年は491円、今年は600円台に乗ろうとしていて、2倍、3倍になっています。

そんな中でも輸入して、日本の消費者に届ける努力をしています。

ーー回復の見込みは?

要素は2つあります。

1つは、ブラジルのオレンジ果汁の供給量がどれだけ回復するかです。
これは豊作ということなので、天候によります。

2つ目は、円安の動向です。
このままでは買い負けするので為替レートの影響があります。

輸入果汁は、オレンジだけでなく、リンゴ、ぶどう、パイナップルなど色々ありますが、どれも為替レートの関係で値段が前年比110〜120%アップしています。

その中でも、オレンジ果汁は153%と非常に高いです。
これは為替に加えて、ブラジルの供給力不足というダブルパンチが効いている結果です。