深刻な人手不足解消への切り札は、まだまだ働きたいシニア世代。

学校のようなあいさつをしていたのは、子どもたちではなく、セカンドキャリアなどを目指す人を対象とした東京都の職業訓練施設の生徒たち。

多摩職業能力開発センター府中校 生活支援サービス科・高野かおるさん「生活支援サービス科をはじめ、いろんな訓練があるので、自分の可能性をどんどん高めていってもらいたい」

訓練生は3カ月無料の訓練を通して、介護や家事に関する4つの資格の取得が可能となる。

取材した日に行われていたのは、ボタン付けの授業。

訓練生「これは緩いですか? これでは」
講師「そうだね。もっとしっかり巻かないと」

東京都がこのような施設を運営するのには、日本が直面する深刻な人手不足問題が背景にあるという。

現在、円安により外国人労働者が減少し、さらに2024年1月には、正社員の人手不足割合が過去最高の55.3%になった。

人手不足の課題解決の一役を担うと言われているのが、シニア雇用。

訓練生「まさに裁縫なんていうのは50年ぶり。定年を機にこちらの方に通うことに決めた。いわゆる普通のサラリーマンだったが、より直接的に世の中の役に立てるような業種ということで、この業界に興味があった」

訓練生「(以前)自宅で母を要介護という状態でみとって、ヘルパーなど、いろんな人に助けられてみとることができた。前職を辞めて学ぶところからまず始めて、人に感謝される仕事に就いてみようと始めた」

この職業訓練施設では、現在、1人に対し平均6社もの求人があるという。

シニア世代の仕事への意欲が、企業も動かしている。

高野かおるさん「今までの職業プラスここで学んだことを活用して、まったく違う職業や少し関係する職業に就いたりと、生徒1人ひとりが本当にどのように進んでいくのか、生徒次第でいろいろ広がっていくところをとても期待しています」

人生100年時代。
シニアのパワーで日本を盛り上げる。