嫁が姑に不満タラタラという話はよく耳にしますが、嫁姑関係に悩むのは姑だって同じです。 今回は、筆者の知人の母親Aさんから聞いたエピソードをお届けします。

いつでもおいで

Aさんの家から徒歩圏内に住む息子夫婦。息子は帰りが遅いようで、慣れない町で幼い子供を育てている嫁Bさんは「とても寂しい」とこぼしていました。

そこで優しいAさんは「家族なんだから、寂しくなったらいつでも家においで」とBさんに声を掛けました。それ以降、Bさんは頻繁にAさんの家に孫を連れてくるようになりました。

最初は嬉しかったけど

自分を頼ってくれることに、最初はとても嬉しく思ったAさん。しかし、Bさんが連絡なしに毎日来るようになり、負担を感じるようになりました。

さらに、夕食の時間までダラダラと居座るようになったBさん。気が付けば、Aさんの家でBさんは夕食を済ませていくのが日課になっていました。

「お義母さんのご飯は最高です!」と言ってくれるのはありがたい。ただ、一緒に料理したり、片付けをしたりする訳ではないBさんは、完全に上げ膳据え膳状態。この物価高の中、Bさんと孫の食費まで負担するのは、苦しいのが正直な本音。感謝の言葉もなく、まるで家政婦のように扱われている状況に、Aさんはこの状況に違和感を感じ始めたのです。

そろそろ帰ったら?

しかし、「いつでもおいで」と言ったのはAさん本人です。それなのに、「やっぱり来ないで」と言うのはおかしいと頭を悩ませるAさん。

そこで、やんわりと「今日はそろそろ帰ったら?」とBさんに夕食前に声を掛けることにしたのです。
しかし、そんな思いに全く気付かないBさん。「えっ!? 今日も食べて帰りますよ! 今日のおかずは何ですか?」と遠慮なく言ってきたのです。

今まで嫁や孫の分の夕食を、毎日タダで食べさせてきたAさん。Bさんの無神経な態度にカッとなり、「私は家政婦じゃないの! たまには自分でご飯を作りなさい!」と不満を爆発してしまいました。

急にAさんが大声を出したことにキョトンとしたBさん。その日は孫を連れて、そそくさと家に帰っていきました。

鬼姑扱い

その翌日、息子からAさんに電話がありました。

「母さん、Bのことイジメないでよ。母さんのことが怖くて仕方ないって言ってるんだ」

Aさんに叱られたBさんは、自分が嫁いびりされたと愚痴をこぼすように。それ以降、急によそよそしくなり、めったにAさんの家に姿を見せることはなくなったそうです。

「本当はBさんのことを支えてあげたかった。でも、甘えるのにも限度ってものがあるでしょう? それを伝えたかっただけなのに」

Aさんは涙ながらに語っていました。

その後、Aさんの気持ちが息子経由でBさんに伝わったようで、Bさんは直接Aさんの家に来て、謝罪とこれまでの感謝の言葉を伝えたそう。Aさんも「あの時は感情的になってごめんね」と返して和解しました。

Bさんを心配して「いつでもおいで」と言ったものの、毎晩上げ膳据え膳が当たり前になるとは、Aさんは思っていなかったでしょう。BさんはAさんに甘えすぎだったように思いますが、人付き合いの難しさを痛感させられました。やはり、相手への思いやりの気持ちは大切ですね。これから少しずつ嫁姑関係が改善していくといいですね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:花澤ひかる