日銀の植田和男総裁は18日(日本時間19日)、米ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議閉幕後の記者会見で、円安で物価上昇に無視できない影響が生じた場合は「金融政策の変更もあり得る」と話した。日銀は3月にマイナス金利政策を解除したが、追加利上げの可能性を示唆したとみられる。

18日のニューヨーク外国為替市場の円相場は午後5時現在、前日比25銭円安ドル高の1ドル=154円60〜70銭。

植田総裁は、円安が輸入価格の上昇を通じて「基調的な物価に影響を与える可能性はあり得る」と分析。今月25、26日の金融政策決定会合後に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、1月以降の円安の影響を取り上げ「数値的にも示すことになる」と話した。

これまで植田総裁はマイナス金利解除後も「緩和的な金融環境を継続する」と述べてきたが、一転して円安や物価高を抑え込むための金融政策変更を示唆した。市場では、追加利上げは年後半以降とみられていたが、前倒しされる可能性も出てきた。

物価高が家計に影響することを受けて金融政策変更の可能性が打ち出された。ただ、日銀の追加利上げによって短期金利が上昇した場合、これまで低金利に抑えられてきた変動型の住宅ローンも上昇に向かう可能性がある。

総務省が19日に発表した3月の全国消費者物価指数(2020年=100、生鮮食品を除く)は、前年同月比2・6%上昇の106・8だった。伸び率は2月の2・8%からやや鈍化した。今後の物価の動きが金融政策を左右することになりそうだ。