天皇誕生日、いや、今は昭和の日で、久しぶりの休日。
玄関先に日の丸の旗を掲げる。
強い風にはためく日の丸を見ていると、日本に生を受けた幸せを改めて思う。
近所で、日の丸を掲げるのはわが家だけだ。
実に情けない。
戦後、ぼくが小学生の頃(昭和20年代)は、どこの家でも祭日には必ず日の丸の旗を掲げていた。
それが、なぜ、いつ頃から日の丸を掲げなくなったのか。掲げると右翼と言われるようになったのか。
米占領軍が禁じたわけではない。占領直後は日の丸、君が代を禁じたマッカーサー元帥は昭和24年元旦、日本国民への年頭挨拶のなかで、日の丸掲揚の制限を解くと表明。
憲法改正を押し付けたマッカーサー元帥も、さすがに国旗掲揚を禁じることはできなかったのだ。国旗に対する敬意は持っていたのだろう。
玄関先の階段で日の丸を掲げていたら、近所の子供が寄って来た。
「おじちゃん、なんで日の丸の旗あげてるの?」
少なくとも、日の丸の旗は知っているらしい。
「今日は昭和の日だ」
「ふーん」
ま、平成、令和と過ぎているのだから無理もあるまい。令和生まれかもしれない。
そう言えば、この子、前にぼくが下駄(げた)を履いてゴミ棄てに行っていたら、
「おじちゃん、それ何?」
「下駄だよ。知らない?」
「知らない」
彼の家には下駄というものがないのだろう。
ぼくはサンダルが嫌いだからカミさんにネット通販で浅草の下駄屋さんから買ってもらっている。欠点は、今は下駄も高級品で桐の下駄しかないこと。乱暴に履くとすぐ欠ける。
話を日の丸に戻す。
先週土曜、衆院補選最終日の4月27日夜、東京15区、日本保守党の飯山陽候補のマイク納め、最終演説を聞きに門前仲町、深川八幡前に行ってきた。
午後7時スタートだったが、少し遅れていくと、境内入り口と前の通りに人がびっしり。永代通りの向かい側にもたくさん人が集まって、手を振っている。
飯山さんの演説、2週間の運動ですっかり声がかれているのが痛々しい。
「アカリ! アカリ!」のアカリコールで大いに盛り上がった。
で、真打ちというか、日本保守党代表、百田尚樹さん登場。
「先の大戦が終わって、日本の国土が徹底的に破壊され、占領されたとき、こう言われました。
『この国は今や世界の最貧国になった。50年経っても、日本は昭和5年の生活水準に戻れるかどうか』
ところが、どうでしょう。19年後の昭和39年、日本は東京オリンピックを開催して、世界中の国を招いた。その時代には世界のどこの国もできなかった時速200キロ以上の新幹線を走らせた。たった19年で日本は復活したんです。
そのくらい力のある国民なんです。世界のどの民族と比べても、ひけを取らない優秀な民族です。
ただし、ひとつだけ条件がつく。政治さえ間違えなければ――」
目算で1000人近い人たちが集まっていたが、日の丸の小旗を振っている人が多いのに感動した。こういう人たちが、日本保守党を支えているのだ。
今回は残念な結果に終わったが、日本保守党、今後、必ず日本を担う政党として育つに違いない。
日の丸の小旗の波を見て、そう確信した。
(月刊『Hanada』編集長、花田紀凱)