交流サイト(SNS)を通じてうその投資話を持ちかける「SNS型投資詐欺」と、SNSなどで接触した相手に恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害が昨年夏以降、全国で急増している。福井県内でも同様の傾向がみられ、昨年の推定被害額計12億4200万円に対し、今年1〜3月は既に5億円を超えた。特殊詐欺の被害額5千万円も大きく上回り、県警は「危機的状況にある」と警戒を強めている。

 県警によると、「SNS型投資詐欺」の被害相談件数は今年1〜3月の3カ月間で68件、推定被害額は約4億7923万円。「ロマンス詐欺」は5件約2320万円。被害者73人のうち男性は44人、女性が29人だった。年代別では60代の22人が最も多く、50代21人、70代9人、40代8人と続く。特殊詐欺と比べると、高齢者だけでなく現役世代も被害に遭いやすい特徴がみてとれる。

 被害のきっかけはSNS42件、ウェブサイト19件、マッチングアプリ10件、不明2件。

 SNS型投資詐欺では、SNSのダイレクトメッセージや広告で、著名人になりすまして勧誘してくるケースが目立つという。有名人の画像使用はもちろん、精巧に作られた偽動画を準備していることもある。「あの人が言うのなら」と思い込み、多額の振り込みをしてしまうようだ。

 被害が急増している現状について、県警は「最近の投資ブームに国内外の犯罪グループが乗じている可能性がある」とみる。容疑者の摘発に注力しているが、被害者が犯人グループに対面することはないため、端緒をつかみにくいのが実情。県警は「絶対に稼げるといった甘い話は信用せず、知らない人からのダイレクトメッセージや、著名人を使って投資を呼びかける広告は詐欺を疑ってほしい」と呼びかけている。