福井県警は、交流サイト(SNS)上にある特殊詐欺などの犯罪実行者(闇バイト)募集が疑われる投稿の監視に、人工知能(AI)を活用したシステムの運用を始めた。有害投稿を効率的に抽出し、警告する。

 闇バイト対策として、県警は昨年4月から捜査員がSNSにアクセスするなどして有害投稿を監視していた。捜査の効率化を図ろうと、県警のサイバー犯罪対策のテクニカルアドバイザーを務める安彦智史仁愛大准教授(情報学)に相談し、AIによる監視システムを共同開発した。

 AIは、X(旧ツイッター)とインスタグラムで、「闇バイト」「裏バイト」「口座買い取り」などのキーワードを基に有害投稿を自動判別し、捜査員が「犯罪の実行者を募集する不適切な書き込みです」と投稿者に警告する。

 2月に運用を始め、4月16日までにXで90件、インスタグラムで26件の警告を出した。監視に必要な時間は従来に比べ、Xは半分、インスタグラムは34分の1に短縮されたとしている。

 25日に福井市の県警葵分庁舎でデモンストレーションを行い、県警の担当者らが有害投稿をAIが抽出する仕組みを説明した。安彦准教授は「手作業で行っていた業務の効率化に貢献できたら」と述べた。県警サイバー犯罪対策課の清水昌樹次席は「今後もシステムの改善を重ねて、犯罪防止につなげたい」と話した。

 県警組織犯罪対策課によると、県警が特殊詐欺事件で昨年摘発した17人のうち、7人が闇バイトに応募していた。