<官製談合事件・福島県石川町>
石川町長の塩田金次郎容疑者だが、1987年から石川町議会議員を2期、1995年から福島県議会議員を4期務め、石川町長には2018年に初当選した。
初当選当時の石川町の広報誌。その中には、「公正・公平な町政」や「厳しい財政下であっても健全な町政を」といった当時の決意が書かれていた。

今回、塩田容疑者は、「予定価格を漏らしたこと」で逮捕に至った。この予定価格とは何か?これは、今回だと自治体が公共工事を行いたい時の、いわば「予算」だ。
談合が疑われている道路工事は、予定価格…自治体の予算が1262万4000円だった。
それに対して3社が入札し、1260万円、1250万円、そして志賀建設が1245万円で、最も安く済む志賀建設が落札した。
そもそもこの予定価格、自治体側は漏らしてはいけないのだが、塩田容疑者が今回逮捕された元社員と元取締役の2人に漏らして、その情報をもとに志賀建設が落札した疑いがある。

石川町によると、公共事業に関する入札の手続きは全て町長の決済で最終決定されていた。つまり、塩田容疑者は予算を知ることができる立場で、その額を土木会社の2人の容疑者に伝えていたとみられている。

<今後の捜査のポイント>
ーー塩田容疑者がいつ、どのように入札に関する情報を提供したか?
町によると、塩田容疑者は決済時に紙で設計金額などを知り得たと話している。その情報を直接なのか、あるいは電話などでやり取りしていたのか、警察は犯行の状況についても通話履歴や供述などから裏付けを進めるとみられる。

ーーなぜ情報を提供したのか?
町長という立場でありながら秘密事項をもらした背景になにがあったのか。金銭の授受なども含めて捜査するとみられる。

ーーGW真っ只中の逮捕。なぜこのタイミングだったのか?
ある捜査関係者によると、証拠隠滅の恐れがあったことが挙げられるということ。町民の間でも官製談合を疑うような話が広まりつつあったという。
こうした汚職事件の場合は、念入りに証拠を集め、容疑の裏付けを進める。話が容疑者たちの耳に入った場合、証拠隠滅の可能性、捜査に支障をきたす可能性が高くなるため、逮捕に踏み切ったと見られる。

警察では、30日の家宅捜索で押収した書類や証拠となる資料と3人の供述を一つ一つ照らし合わせ、容疑の裏付けと全容の解明を進めていく。