昨季までオリックスで球団トレーナーを務めた青田氏「本当に有難いです…」

 突然の連絡が、心をほっこりさせてくれた。昨季までオリックスで球団トレーナーを務めていた青田佑介氏は、1通のメッセージが届いた携帯電話を見て微笑んだ。「開業するなら、教えてくださいよ! いつですか……?」。気遣いたっぷりの連絡をくれた相手はドジャース・山本由伸投手だった。

「いきなりメッセージが来た時は少し驚きましたね。それと同時に『元気にしてるかな?』という感情になりました。(昨年オフに)球団を退職することは伝えていたんですけど、由伸も(メジャー移籍で)忙しそうだったので。時間もないはずなのに、開業日にお花を届けてくれたのはすごく嬉しかったです」

 青田氏は2009年に東京衛生学園専門学校を卒業。治療院勤務などを経て、2016年1月から昨季までの8年間でオリックスのチームトレーナーとして選手をサポートしてきた。今年2月下旬より、埼玉・浦和にて「ao conditioning room」を開いた。

 開業日には山本以外にも“古巣”の平野佳寿投手、山岡泰輔投手、若月健矢捕手、宗佑磨内野手、杉本裕太郎外野手、福田周平外野手、佐野皓大外野手、レッドソックス・吉田正尚外野手らから“祝福”の花が届いた。「本当に有難いです……。みんな良い選手でしたから。僕も影ながら応援させて頂いてます」。爽やかな表情で、目尻を下げた。

 青田氏は2021年東京五輪、2023年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で野球日本代表「侍ジャパン」にも帯同。昨年WBC期間中には“オリックス会”にも参加し、食事を共にした。

 「ちょうど正尚がメジャー初キャンプのタイミングだったので、みんな『どんな感じですか?』と聞き込んでいましたね。由伸も真剣な表情で聞いていて『やってやる!』というのが見えていました。どんどん上を見ていてすごいなと感じましたよね」

3連覇にも貢献…「マンネリ化しないようにと心掛けていました」

 青田氏自身は高校時代まで野球をプレーしたが「レベルの違いというか、現実を見ました。もう自分はプレイヤーとして(活躍するのは)無理だとわかったんです。でも、好きな野球に携われる仕事がしたいなと考えていました」。

 球団トレーナーとして、チームの3連覇に貢献。「常に同じ選手を見続けるので、メリハリをつけたり、変化を出してみる。マンネリ化しないようにと心掛けていました」と創意工夫を明かす。現在、治療院に足を運ぶ人はアスリートだけではない。

 一般の方にもストレッチからマッサージまで行い「僕としては、何かに困っていることがあれば、本当に少しでも良いので、助けになれるような存在でありたいなと思っています」。山本から突然とメッセージが届く理由がわかる“物腰”の低さ。デスクワークの肩こりをほぐしてもらいたくなる。(真柴健 / Ken Mashiba)