オリックス・マチャドが見せた“心遣い”

■オリックス 5ー4 楽天(9日・京セラドーム)

 胸が熱くなる“出迎え”だった。オリックスのアンドレス・マチャド投手が9日、楽天戦(京セラドーム)の8回に登板。3つ目のアウトを奪うと、ライトの守備位置から自らの元へ一直線に走ってくる森友哉捕手を優しく抱きしめた。

 三塁を守っていた宗佑磨内野手は「良いですよね、ああいう行動。次は絶対にやり返してやろうという気持ちにさせてくれますよね」と真っすぐな視線で話した。一塁側ベンチ最前線で声を張り上げていた石川亮捕手も「あんまり気にすんなよという意味だと思います。『お前のせいじゃない』というサインだと思いますよ」と説明した。

 5-3と2点リードだった8回2死二塁。マチャドが投じた158キロ直球を楽天・阿部が弾き返し、打球は右中間に飛んだ。本職は捕手ながら、右翼のポジションで出場していた森が懸命に飛球を追い、最後はジャンプして捕球を試みたが、惜しくもキャッチできず。適時二塁打となり、1点差に詰め寄られた。

 その後、マチャドは3つ目のアウトを見逃し三振で奪うと、ゆっくりと一塁側ベンチへ引き上げようとした。すると、ライトから森が駆け寄ってきたため“バンッ”と分厚い大胸筋を、両手で挟んだのだった。

 言葉を交わすことのない“コミュニケーション”に、宗は「(オリックスの)助っ人たちは、みんな優しいです。例えば、こっち(野手)が少しミスをしても『全然いいよ!』って感じです。OK!って感じで(降板後に)ベンチでも声を出してくれる。一緒に戦っている感覚が深いですね」と笑顔で答えた。

「キャッチャーの考えていることを尊重してくれる投手です」

 試合直前も「ずっとラテン系の選手で喋り倒してますよ(笑)。僕はロッカーが近いんですけど、めちゃくちゃ大きな声で喋ってます……。デカイ(音量で)音楽をかけてますね。エスピノーザ、マーゴ(ゴンザレス)、レオ(セデーニョ)、カスティーヨ、マチャドの5人で大爆音です」と、打ち解けている様子を教えてくれた。

 石川に尋ねても「今年の助っ人たちは、仲間意識がすごく強いですね。(昨季から在籍の)マーゴも楽しそうです。マチャドもすごくナイスガイ。普段はハッピーな性格なんですけど、試合になると集中のスイッチが入って『人が変わる』感じがしますね。クセもないし、優しいです」と答えるほど、誠実だという。

「(マチャドは)キャッチャーの考えていることを尊重してくれる投手です。ボールは(スピード)ガンの通り、エグいですね。かなり心強くて、頼もしいですね」

 160キロに迫る直球を投じ、持ち味のチェンジアップで緩急を生かす。そして、瞬時に仲間を思いやる心を持つ。グラウンド上に“一瞬”登場した「漢・マチャド」に、途轍もない戦力補強を見た。(真柴健 / Ken Mashiba)