東京六大学春季リーグ“開幕4番”先制二塁打放ち活躍

 NPB歴代5位の通算525本塁打を誇る清原和博氏の長男、慶大・正吾内野手(4年)が13日、東京六大学野球春季リーグの開幕戦の東大1回戦に「4番・一塁」でスタメン出場し、4打数1安打1打点1死球。センターオーバーの先制適時二塁打を放った。中学、高校では野球から離れていたが、一念発起して大学から再開。ここにきて急成長を遂げている。周囲の“元プロ”たちはどう見ているのか──。

 慶大の非常勤コーチを務めている中尾孝義氏は、現役時代に中日、巨人、西武で捕手として活躍。西武時代に和博氏とチームメートだった縁もある。「いまチームで一番打撃の状態がいいのが清原(正吾)です」という。

 清原は昨年までリーグ戦通算5試合出場、打率.111(9打数1安打)、4三振。本塁打と打点は0だったが、最終学年を前に急成長。4番を任されるまでになった。中尾氏は「今年は体を開かずに打てるようになり、センター方向へ強い打球が飛ぶようになりました。肩のラインが真っすぐ投手方向へ向かうようになったのが、成長したポイントです」と説明。清原自身、「コンパクトにセンター返しを意識するようになりました」と語っている。

 卒業後の進路は「プロ」を希望。野球に打ち込んだキャリアは短いが、中尾氏は「確かに、いい素質を持っています。立派な体格(186センチ、90キロ)をしていますし、足も速い。足はお父さんの現役時代より速いですよ。パンチ力は、さすがにお父さんほどではありませんが、慶大では3〜4番手。ライト方向へも打てる中距離打者タイプです」と評する。

 一方、慶大の宿命のライバルである早大には、現役時代に投手としてNPB通算117勝を挙げ、和博氏と名勝負を繰り広げた小宮山悟監督、西武で和博氏とチームメートだった金森栄治助監督がいる。小宮山監督は「清原くんが最終週の早大戦(6月1、2日)まで4番を打ち続けているかどうかはわかりませんが、お父さんの和博氏は、僕が対戦した中で最高の右打者だったと思っています。最高の左打者? それはもちろんイチロー氏ですよ」と感慨深げだ。

東大4番手で“渡辺俊介ジュニア”登板「対戦したら絶対に抑えないと」

 この日、清原との直接対決は実現しなかったが、東大の4番手として、かつてロッテで通算87勝を挙げ、2006年と2009年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本の優勝に貢献した渡辺俊介氏の長男・向輝(こうき)投手(3年)が8回に登板した。父をほうふつさせる右のアンダースローで、1イニングを3者凡退で片づけた。

 渡辺は試合終了後の会見で「言い方が少し難しいのですが、もし清原選手と対戦して打たれてしまったら、確実にネットでバズるじゃないですか? 話題になってしまうので、もし対戦することがあったら絶対に抑えないといけないと思っています」と笑わせた。

 スタンドで観戦した和博氏は「開幕戦でいいタイムリーヒットが出て、正吾もホッとしているのではないでしょうか。元気にプレーしている姿を見ることができて嬉しく思います。今後も、チームのために頑張ってほしいです」とコメントした。

 今季の東京六大学リーグは本来、今秋ドラフトの目玉で「獲得した球団は10年間はショートが安泰」とまでいわれる明大・宗山塁内野手(4年)に注目が集まるはずだった。ところが、2月のオープン戦で右肩肩甲骨骨折を負い、出場が危ぶまれている。当面は“清原”が話題を呼ぶことになるかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)