5年ぶり古巣復帰…昇格即先発出場した6日のヤクルト戦で決勝の1号3ラン

 DeNAの筒香嘉智外野手は、5年ぶりの日本復帰戦となった6日のヤクルト戦でいきなり決勝の1号3ランを放った。米国では独立リーグを含む7球団を転々とし、決して成功とはいえない成績の中で「お前なんて早く日本に帰れ!」などのヤジも浴び続けた。それでも「野球がうまくなるため」に愚直に自らの信じた道を突き進んだ。

「米国もヤジは相当厳しいから。球場でも散々言われたし、DM(ダイレクトメッセージ)もたくさん送られてきたしね」

 2020年から海を渡り、同年の開幕戦でメジャー初安打初本塁打となる2ランを放つ鮮烈デビューを果たしたが、輝きは長くは続かなかった。打撃不振に苦しみ、シーズン途中のトレードやDFA(事実上の戦力外)も経験した。周囲の声は厳しさを増したが「俺が毎日やっていることを知らない人に何を言われても何とも思わない」。気持ちが揺れることはなく、挑戦し続けた。

 メジャー通算182試合で打率.197、18本塁打、75打点という結果を「満足できるものではなかった」と受け止める。野球と向き合い、マイナーだけではなく独立リーグの過酷な環境にも身を投じた。

「バスで隣に人がいてゆっくりできない中で14時間移動して、到着して1時間後に試合をしたり。インゲンマメが出てきたらすごい色をしていたこともあったけど、食べるしかない。文句は言っていられないんだから。米国行って強くなった。成長しましたよ」

 そして次に選んだ道が、古巣への復帰だった。今年3月にジャイアンツを退団後、唯一の心残りだった「ベイスターズでの優勝」を成し遂げるために日本に帰ることを決めた。

 ファーム調整中は育成新人の小笠原蒼内野手にバットをプレゼントしたり、若手から打撃のアドバイスを求められると親身に応じた。1軍では勝利への執念を燃やし、背中で示して雰囲気を変えた。求められているものの大きさは分かっている。一回りも二回りもたくましくなった姿で、背番号「25」が再びチームを牽引していく。(町田利衣 / Rie Machida)