※注意※
本記事には、ゲーム内容のネタバレが含まれています。

Wabisabi Gamesが開発し、2024年5月23日よりPC(Steam)向けに発売予定のタイトル『RKGK(ラクガキ)』のプレイレポートをお届けします。本記事ではGearbox Publishingから提供された先行プレイ用キーを使っているため、リリース後のゲーム内容と一部異なる場合があります。

世界をカラフルに塗りつぶせ!『RKGK(ラクガキ)』ってどんなゲーム?
本作は、シングルプレイ専用の3Dプラットフォームアクション。プレイヤーは、反抗的集団「RKGK」のリーダーでグラフィティアーティストの主人公「ヴァラー(Valah)」となって、スプレー缶片手に街をカラフルに塗りつぶしていき、腐敗した金の亡者・ミスターバフと手下どもを倒すのが目標です。


公式サイトで「アート=レジスタンス」と掲げているように、本作には「権力への反抗」というテーマがあります。それは、グラフィティアートの力を通じて強大な支配者を倒していくストーリーや、ヴァラーをはじめとするキャラクターたちにも反映されています。

同時にその精神性は、日本のアニメや漫画、ストリート文化にインスパイアされて見事に融合した独創的なビジュアルからも伺えます。

本作を生み出したのは、メキシコを拠点とするインディーデベロッパーWabisabi Gamesです。彼らは多種多様な背景を持ったリモートチームで、社会的地位の低いコミュニティ出身者への支援を目的とする「過小評価グループ起業家プログラム」を受けたのをきっかけに、スタジオのデビュー作『RKGK』が実現したといいます。

ゲームのコアとなるアクションは、ジャンプ、ダッシュ、グラインドなど、空間を立体的かつスタイリッシュに駆け回ることができ、テンポも良いので操作していてかなり気持ち良く爽快でした。

また、ステージ上でペイントする3Dグラフィティアートはどれもがカラフルでクール。インパクト絶大でかなり見ごたえがあります。

レベルデザインも秀逸で、コイン集めや実績チャレンジ、別ルートを見つけてスピードランに挑戦するなど、ハイスコアを狙って何度もリプレイしたくなるように設計されています。

各種設定(操作方法、グラフィック、言語、難易度など)
操作方法は、キーボード/マウス、コントローラーに対応。今回はXboxコントローラーを使用しています。プレイフィールは実に良い手応えで、どんなアクションでもキビキビと反応してくれました。もちろん、ボタン配置は自分の好きなように変更できます。

グラフィックは、解像度スケールや垂直同期など標準的なものですが、最適化されて負荷が少ないせいか、「エピック」設定でもクラッシュしたりフリーズすることが一切なく、筆者環境では快適に遊べました。

言語は日本語テキストに対応。シニカルな言い回しや「〜しか勝たん」のような最新の若者言葉も取り入れていたり、日本語のクオリティが非常に高いのも特徴的です。さらになんと、本作は日本語音声にまで対応しています。日本人が吹替を担当しているのもあって、自然とキャラクターへ愛着が湧き、感情移入がしやすかったのもグッドでした。

難易度は、アクションゲーム初心者〜中級者向けの「モダン」と上級者向けの「レトロ」があります。今回はモダンでプレイしました。

本編開始
まず最初に、オープニングムービーが流れます。驚いたのが、キャラクターデザインや映像クオリティの高さ。日本語吹替もあるので、まるで日本のアニメを見ているような感覚になります。

かつては自由な行動や表現が尊重され、グラフィティも盛んだった頃。平和なキャップシティにやってきた大企業CEO「ミスター・バフ」は、それまでの自己表現を禁止し、モニターを使って人々を洗脳し、支配しようと企んでいます(とんでもない野郎だ)。

そんなキャップシティに現れたのが、主人公「ヴァラー」。バイタリティあふれるグラフィティアーティストです。彼女は「RKGK」と呼ばれる反抗的集団を率いるリーダーで、マインドコントロールされ色と活気を失った街を救うべく立ちあがります。

とはいっても、肝心のミスター・バフの居場所が分かりません。こういう時は頼りになる相棒「AYO」の出番です。この小さな浮遊ロボットはヴァラーの親友で、さまざまなサポートをしてくれるナイスガイ。彼によると、バフは近くにいるようです。

居場所のほかにもまだ問題があります。それは街のあちこちに仕掛けられた広告看板。バフはこのスクリーンを通して、マインドコントロールしています。つまり、すべてのスクリーンをグラフィティで塗りつぶせば、人々を洗脳から解放できる上に、監視ネットワークの目も潰せるということです。アートは力なり。これがバフを倒すための第一歩となります。

次の目標がわかったところで、今度はチュートリアルに移りアクションを実践してみましょう。

スタイリッシュアクションの基礎を学ぶ
ユーザーインターフェースはとてもシンプル。ゲーム中は常に視点が移動したり、激しいアクションを行うため、逆にゴチャゴチャしてない方がプレイの妨げにならないので助かります。

チュートリアルでは、トレーニングステージを使ってクリアまでの流れを体験できる仕組みです。ジャンプ、ダッシュ、攻撃、ウォールスライド、グラフィティなど、さまざまなアクションがあり、どれもがスタイリッシュ。それぞれ動画付きでガイドしてくれるところにも好感が持てます。

特に「グラフィティ」は、本作におけるコア要素。ステージに落ちている「スプレー缶」を消費してペイントしていきます。

順調に進んでチェックポイントに到達しました。次は「サーフ」という、プレイ中かなり役立つアクションです。というのも、これを習得すればスプレー缶を消費せず地面を滑っていきスピードアップするので、敵の攻撃をうまく回避して回り込んだり、大幅なタイム短縮ができるのです。

そして最後は巨大なスクリーンに、渾身のグラフィティを描き殴ります。「ミフネ」と題されたサムライのグラフィティアートは、もう圧巻の一言。スクリーンショットでは分かりにくいですが、実は3Dになっているので近くで見るとド迫力です。漫画風のタッチと色使い、ストリートっぽいデザインも非常に素晴らしい。

これでステージクリア。今回のタイムは7分4秒、ランクは「B」でまずまずといった結果です。スコアは、アイテムを残さず収集したり敵をすべて撃破したり、グラフィティを制覇したりノーデスでクリアしたりすると高まっていき、さまざまな項目の合計ポイントで判定されます。

また、最速タイムを叩き出すには、正規ルート以外のショートカットを自分なりに見つけ、クリアタイムを短縮することがカギとなります。さらには、何個ものステージチャレンジが用意されているので、ゲーマー魂に火が着き、ついつい何度もリプレイしてしまう沼状態に……。

隠れ家は「アソビゴコロ」満載!カスタマイズやグラフィティアートを楽しもう
次は、ヴァラー率いる「RKGK」の隠れ家に移動しました。ここは、ヴァラーたちの衣装スキンとグラフィティ・デザインのカスタマイズや、トレーニングルーム、情報ログの閲覧、各ステージへのアクセスなど、プレイヤーの拠点となる場所です。

スキンはこのように、ヘッドギア、ジャケット、トップ、スニーカーまでヴァラーの全身を細かく変更できます。

超COOLなグラフィティアートも、デザインや色をカスタマイズできます。レベルを開放していき、ミッションやチャレンジを達成すれば、より多くのグラフィティが手に入り、自己表現の幅がグンと広がります。

ログは、キャラクター、敵、ロケーション、カットシーンなどさまざまな情報の宝庫。ゲームに関する知識やストーリーを振り返るには最適な機能です。こうした丁寧な作り込みも本作の魅力のひとつでしょう。

壁を見てみると、あちこちにグラフィティアートやラクガキが描かれています。漫画チックなキャラや漢字など、日本文化へのリスペクトが感じられます。

他にも開発スタッフのペットの写真が飾られていたり、AYOのタコス屋台があったり、アソビゴコロが満載。プレイヤーに楽しんでもらいたい、という気持ちが伝わってきます。

脳汁出まくりハイスピードアクションで駆け抜けろ
隠れ家からチャプター選択できるようになり、第1章が始まります。習得したアクションをフルに使ってタイムアタックに挑みましょう。

無限に滑走できる「サーフ」と同様に、スプレーを噴射して一定時間空を飛べる「グライド」はスピードランに必須のアクション。空中ダッシュと組み合わせて、移動距離を伸ばしたり高い場所へ登ることができます。

「グラップリンクフック」は特定のポイントで繰り出せるアクションで、より遠くへジャンプできますが、タイミングよくボタンを押さないと墜落してゲームオーバーになってしまいます。

チェックポイントを抜けると、複数の敵との戦闘になります。相手は重装甲ロボットで突進してくるので注意。これをサーフで回避して背後に回り込み、通常攻撃か上空からのグライド攻撃を食らわせて撃破していきます。

すべて倒したら、新作グラフィティ「スクールガールズ」をスプラッシュしてフィニッシュ。

次のステージはキャピタル・スクエア。徐々にレベルデザインも複雑になり、敵の数も増えてきます。ですが心配はいりません。なぜなら、ここで新たなゲームメカニクスが登場するのです。

それは「ディフェイサーモード」。サーフなど一部スキルが強化されるブースト機能です。例えば、サーフの滑走スピードが速くなったり、「フォースフィールド」で敵を攻撃したりできるようになり、一定時間パワーアップします。

ディフェイサーはグラフィティを描いたり、何かしら行動すればゲージが溜まっていき発動します。

この状態の時は、スピード感もケタ違い。ステージギミックの「レール」を駆け抜けた時は、脳汁が出るくらい爽快な気分になりました。

ミスター・バフと対決
ステージを次々と進み、ついに憎き宿敵「ミスター・バフ」を発見。ヴァラーは鼻息荒く詰め寄ります。

しかしバフは全く動じない様子で、しかも小馬鹿にしたような態度です。もう我慢ならんので、全力でやっつけるしかありません。

ボス戦は、これまでの戦闘スキルと習得したアクションを試す絶好の機会。動きをじっくり観察し、攻撃パターンを読んで上手くかわし、反撃のチャンスを生み出します。通常のステージと違い、敵とタイマンでガッツリと対峙する戦闘は、スリリングでやりごたえがありました。

バフは放射状のエネルギー弾を撃ってくるので、サーフで距離をとりジャンプして回避します。すると今度は、ロボットから降りて突っ込んでくるので、直前までひきつけて爆発物にぶつけダメージを与えていきます。

何度かそれを繰り返して弱体化させ、最後はもちろん、巨大グラフィティアートをペイントしフィニッシュ。バフを倒した……かのように見えましたが、やつは自分の要塞に逃げた模様。道のりはまだまだ遠そうです。この先の物語は、ぜひプレイヤー自身で体験してみてください。


今回の先行プレイでの感想をまとめると、目立った不満点がほとんどなく、非常に洗練された完成度の高い作品に仕上がっていると感じました。

多様なアクションは、ド派手なエフェクトと自然なモーションのおかげでスタイリッシュですし、それぞれのアクションを自分なりに連鎖させてステージを駆け回るのは、爽快感があって非常に楽しいものでした。

レベルデザインも、何度も挑戦していくうちにショートカットを発見出来るような構造になっていたり、ステージギミックやシークレットアイテム探しなど、プレイヤーを飽きさせない工夫が随所に見られました。

そして、目玉であるアニメ風グラフィティアートは、日本のカルチャーに対するリスペクトを感じつつ、非常にセンスが良い。また、ヴァラーやバフなどキャラクターデザインもポップで親しみやすく、日本語吹替に対応していたのも好感触でした。

タイトル:『RKGK(ラクガキ)』
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:Windows PC
発売日:2024年5月23日
著者プレイ時間:4時間


スパくんのひとこと


アクション良し、グラフィティ良し、キャラクター良し、の3拍子揃ったオススメのゲームだスパ!