ジミー・スタンガーは今週の「バルスパー選手権」(フロリダ州・イニスブルックリゾート カッパーヘッドコース)で、これ以上ない居心地の良さを感じていることだろう。フロリダ州タンパ出身とあり、子どもの頃からこの大会に通ってはボランティアとして参加してきた。PGAツアーのルーキーとなった今季、好調を維持したまま地元大会に臨んでいる。

これまでスタンガーは7試合に出場し、5度のトップ40入り。1月「ザ・アメリカンエキスプレス」で14位タイ、3月「プエルトリコオープン」で3位タイ、先週の「ザ・プレーヤーズ選手権」では35位タイに入っている。

初出場を果たした「ザ・プレーヤーズ選手権」の前に、PGATOUR.COMは28歳のスタンガーとひざを突き合わせ、バッグの中身を確認するとともに、それぞれのクラブを使用する理由について尋ねた。

以下は、スタンガーのクラブセッティングから得られる用具選びへのヒントである。

1. より寛容性の高いドライバーを使用するべし

以前のスタンガーはタイトリスト「TSi3ドライバー」を使用していた。しかし、新しいTSRシリーズで彼は嗜好を逆転させ、より寛容性の高い「TSR2」モデルを選択した。

「僕が好むドローを打てる。とんでもなくホットなフェースになっているのは間違いないところだね」とスタンガー。自分に合ったドライバーを探しているアマチュアゴルファーは、自分のゴルフに適したパフォーマンスを引き出してくれる一本を見つける上で、各ブランドから出ている複数のモデルを試すことが肝要である。

ちなみに、2024年版GolfWRX.comベストドライバーにおけるスイングスピード時速96〜105マイルのカテゴリーで、スタンガーの使用するTSR2モデルはトップ5にランクインしている。

2. 高弾道には7番ウッドを試して

スタンガーはコースや天候のコンディションにより、TSR2の7番ウッドとT200の3番アイアンを使い分けている。風が強い場合、より低弾道を打てる3番アイアンを使用するが、天候が落ち着いている、あるいはコースのコンディションがソフトで距離が長い場合、7番ウッドを選択する。

「風の強さ次第なので、競技の現場で判断しているんだ。ここ(TPCソーグラス)は、間違いなく僕にとっては7番ウッドのコースだね。僕は240ydのフロップショットを打つという表現をしているんだ。これは50度以上の下降角度で着弾するのだけど、それって、基本的にウェッジでグリーンを狙う時の角度なんだよ。これを地面に置くと、60度のウェッジをのぞいているように見えるんだ。そこまで風が強くなければ、これをバッグに入れるね。ここ(TPCソーグラス)みたいな場所では、ラフから出す時の武器になる。もし風が強くなれば、僕らは直ちにこれを3番アイアンと交換するんだ」

3.60度のウェッジは常に新品を

スタンガーは4本のタイトリスト「ボーケイSM10ウェッジ」(46度と51度に調整した50度と56度、60度)をセッティングに入れており、ロブウェッジのみ扱い方を変えている。

60度のウェッジに関して、スタンガーは自身の求めるグリップ力をもたらすフレッシュな溝を確保するため、頻繁にヘッドを交換している。「これにはかなりこだわっているね。60度のウェッジは、もう何度も交換している。これも、今年に入ってすでに2本目なんだ。いや、もしかしたら3本目かもしれない。今週(のプレーヤーズで)新しいものに交換した理由は、ここのグリーンが小さく、アンジュレーションがあるから。グリーン周りでは、最大のグリップ力が必要になってくる。ボールにスピンをかけて止める必要があるんだよ。真新しいウェッジがそれを可能にしてくれる。2、3週しか使っていないウェッジと比べても、断然違うんだ」

フワリと上げてピタリと止めるショットを打ちたいのであれば、新しいウェッジのフレッシュな溝がそれを実現してくるだろう。

4. フェアウェイバンカーショットでウェッジを摩耗して

ロフト角60度のウェッジとは対照的に、スタンガーはフルショットでのスピン量を減らすため、46度、50度、56度のウェッジには磨耗したものを好むという。ウェッジのショットで意図的にスピン量を減らすというのは、常識に反しているように思えるが、スタンガーには思惑があるのである。

「僕が真新しい50度、56度、46度のウェッジをバッグに入れているところを目にするのは、ごくごく稀なことだね。これらのウェッジは磨耗していて欲しいんだ。だから、新しい50度、56度、あるいは46度のウェッジを入手した際は、溝を少し磨耗させたいので、自宅で2週間から1カ月ほど練習する。僕は60度でチップショットを打つけれど、60度ではそこまでフルショットを打たないというのが、その理由だね」と説明した。

「基本的にフルショットは46度、50度、56度のウェッジでしか打たないので、スピン量が多すぎると飛距離が落ちてしまうし、グリーンに着弾した後、(バックスピンにより)後方へ戻りすぎてしまう。それが良いときもあるけれど、大体においてコース上に不確実性や予測不可能性を持ち込んでしまう。選手の多くは、ウェッジをバンカーへ持って行って、1週間ほどフェアウェイバンカーショットの練習をしているね。そうすると、溝が1カ月ほど使い込んだくらいに磨耗し、ほぼ完璧な仕上がりになるんだ」

5. グリーンの状態次第でロフト角を見直す

スタンガーは通常、ロフト角がわずか2度しかないパターを使用しているが、アドレス時に両手をパターヘッドより少し後ろ側に下ろして構える傾向があることに起因している。

しかし、最近になって、スコッティキャメロンはスタンガーのために標準的なロフト角3.5度のパターを組み上げた。これにより、芝が少し長い遅めのグリーン上で、スタンガーは若干高めにボールを打ち出し、ボールを芝の上に留めることができるようになった。最初にボールを打ち出す高さが増すと、早めに転がり始めるようになり、跳ねてオフラインへ外れ難くなるのである。

「この数週前、メキシコやプエルトリコみたいな少し遅めのグリーンでプレーして苦戦をした。そんな僕に、プエルトリコでスコッティキャメロンのレップがこのパターを組み上げてくれたんだ。先週は良いプレーができて3位でフィニッシュした。終盤には勝つチャンスもあったけれど、このパターで決めたいくつかのクラッチパットがその要因の一つだった。それもあって、今週もこのパターを使い続けることにしたんだ。PGAツアーの大会で初めて優勝しそうになった直後に替えたくはないし、練習グリーンでも感触はとても良かったので、今週このパターを実戦投入することに心を躍らせているよ」

ここには2つの教訓がある。グリーンでのパフォーマンスを最適化させる上で、普段プレーするタイプのグリーンにパターのロフトをマッチさせること。そして、パターが上手く機能している時は、それを替えないこと。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)