◇国内女子◇フジサンケイレディスクラシック 初日(19日)◇川奈ホテルGC富士コース(静岡)◇6494yd(パー71)◇晴れ(観衆1880人)

日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が定める“プロゴルファー”には、ツアーに出場する「トーナメントプロ(TP)」と、レッスンを生業とする「ティーチングプロ(TCP)」の2種類が存在する。

JLPGA正会員の資格を得られるプロテストはTPになるための試験を指し、TCPとはテスト形式が異なるため、どちらか一方を選ぶのが一般的。しかし、中には両方の資格を持つプロもいる。昨年11月、9度目のプロテストで合格した29歳の石田可南子は、そのダブルライセンスを目指す一人だ。

高校生の時にTPを志したという石田は、19歳の時に初めてプロテストを受験。そこから必死に練習を続ける中で、「練習環境にも悩んでいたし、タダで練習できるって聞いて…。たくさんボールを打たないとうまくなれないし、『レッスンしながら練習してもいいよ』と言ってもらえたので」。23歳の時、兵庫県宝塚市にあるチボリゴルフセンターの関係者に誘われてレッスンを始めた。「とても教えられるようなレベルではなかったんですけど、仕事をしながらスキルを上げようと」

レッスン業と並行してテスト受験を続けたものの、「年齢を重ねていくごとに厳しさを感じたし、今までやってきたゴルフを形に残したかったから」と目標を軌道修正。最初はプロテスト合格のために始めたレッスンだったが、次第にTCPの道も模索するようになった。

それで3年前にティーチングの講習会を受け始めたところ、昨年のプロテスト合格でTPへの道が開けた。しかし、現在もツアーの合間を縫ってTCPを目指しているのには理由がある。「私、教えることもうまいプロになりたいんです。レッスンの時に理屈をたくさん語れる人はいると思うんですけど、自分が打って見本を見せられるようになりたい。理論も話せて、打っても見せられる。そういうところにこだわっています」。自分のゴルフに説得力を持たせるために両方を求める。

今季のQTランキングは53位。主戦場は下部ステップアップツアーだが、今週はウエーティングからの繰り上げでフィールドに入った。2022年「日本女子オープン」以来となるレギュラーツアーの舞台。初日は3バーディ、1ボギー「69」で回り、首位と2打差の6位で滑り出した。

「(合格を)泣いて喜んでくださる方もいたし、私のレッスンを受けられないことを残念に思ってくださる方もいた。でも、私が試合で活躍しているところをみなさんは見たいと思うので、試合の結果やテレビに映ることで恩返しできたら」。周囲への感謝を胸に、久々のツアーを堂々と戦い抜く。(静岡県伊東市/内山孝志朗)