Photo: chisato kuroda

タッチタイピングもできちゃうの…?

生徒一人ひとりにコンピューターが配布されるGIGAスクール構想。2019年に始まって以来、現在すでに全国の公立小学校の96.2%、中学校の96.5%が全学年または一部の学年で端末を活用しているんだそう。

以前からギズモードでもその様子を追ってきましたが、今回は全国のなかでもトップの活用率を誇る新潟市の大野小学校を取材。iPadを使った授業をのぞいてきました。

新潟市立大野小学校

現地に向かう車の中で、「iPadが配られても、私だったら使いこなせず置いてけぼりになっちゃうかも」なんて考えていたのですが、大野小学校の生徒たちは、思い思いにiPadを“自分のモノ”にしていました。

ロゴづくりで地域の魅力を伝える

4年生の社会の授業では、フリーボードを使って新潟県の市町村のロゴをつくり、お互いにフィードバックをしている真っ最中。

作成したロゴをテレビに映し、共有している様子

生徒の机には、ノートや筆箱の代わりにiPad第8世代とキーボードが。教室の後ろから見ると、みんな使いこなしていてかっこいいな…。

ロゴづくりは、市町村の特色や観光名所、産物などを調べ、それらを一つのロゴに落とし込むというもの。

iPadで素材を集め、フリーボードに貼り付けたり組み合わせることで、紙とペンを使った絵が苦手でも思い通りに表現することができるんだそう。

錦鯉発祥の地、小千谷市を錦鯉で表現したロゴ

生徒たちは出来上がったそれぞれのロゴを見ながら、「市町村のどんな魅力が伝わったか」「もっと魅力が伝わるようにするにはどうしたら良いか」などを伝え合っていました。

答えではなく「解き方」をプレゼン

一方、5年生の算数では、キーノートで応用問題の解き方をプレゼンテーションするという授業。

プレゼンと聞くと、小学5年生にとってはなんだか小難しそうに感じますが、一人で考えたり友達と集まったり、それぞれ夢中で資料を作っていました。

iPad片手にあれやコレやと盛り上がっていてとても楽しそう。

ここで気づいたのが生徒たちのタイピングの早さ。大野小学校では2年生から本格的にキーボード入力を始めていて、タッチタイピング(手元を見ずにキーボードを打つこと)ができる生徒も居るんだとか。すごい。

プレゼン中の様子。左手前の女の子が発表しています

そして、プレゼンのやり方も一味違いました。ライブビデオ機能でスクリーンの左半分に本人の顔が映るようになっていて、前に立たずとも自分の席から発表が可能。

なんだか面白い光景ですが、これならプレゼンのハードルもちょっとだけ下がりそうですね。

持ち帰って放課後や休日も活用

新潟市は活用率だけでなく、端末の持ち帰り率も全国でトップ。 ※文部科学省 令和5年度全国学力・学習状況調査

大野小学校でも多くの生徒たちが毎日持ち帰ることを習慣としていて、放課後や休日もiPadを活用している様子。アプリで音楽を作ったりプログラミングをしたりとそれぞれの好きなことに繋げているんだとか。

これらのアプリは「アプリカタログ:新潟市版」の中から自由にダウンロードが可能。現在は教材系からYouTubeまで約200個のアプリが使え、現場の先生の声を聞き、随時アプリを更新しているそうです。

Image: NIIGATA GIGA SUPPORT WEB アプリカタログの一部

これだけ活用率が高いのにも関わらず、低い故障率を維持しているのも新潟市の特徴。大野小学校の片山校長は以下のように話していました。

たまに、ではなく5年間毎日必ず使うものだからこそ、生徒は愛着を持って大事に使っているんだと思います。壁紙など自分でカスタマイズできるようにしたり、自分の持ち物ということを意識づけさせています。

ゲームやお気に入りの漫画を大切にするように、iPadだって自分の宝物。「好きこそ物の上手なれ」という言葉がありますが、大野小学校の生徒たちは愛着あるiPadで学ぶことでそれを体現しているのかもしれませんね。

Photo: chisato kuroda
Source: 文部科学省, Apple, NIIGATA GIGA SUPPORT WEB

訂正[2024/3/13]本文の一部を修正しました。