松山英樹の21年マスターズ優勝をサポートした目澤秀憲に、レッスン技術に造詣が深いライターDが、最新スウィング理論について話を聞いていく連載「みんなのスウィング3.0」。今回は「パッティングのインパクトゾーン」について考えた。

D [前回]、アマチュアはパッティングの際に、そもそもボールを真っすぐ転がせていないという話がありました。大部分はセットアップに問題があるということでしたが、もちろんストロークにも何らかの問題はありますよね?

目澤 はい、残念ながら。

D 具体的には、どんな問題がありますか。

目澤 大きくは2つあると思っていて、ひとつ目は「真っすぐ-真っすぐ」にストロークしようとしすぎてしまうことですね。もし、パターのライ角が90度なら、シンプルな振り子ストロークで「真っすぐ-真っすぐ」が実現できますし、それが一番フェースをスクエアに当てられると思うんですけど、実際は80度以下でないといけないので、ほんの少しアークのあるストロークのほうが自然です。無理に真っすぐストロークしようとすると、たとえばテークバックでヘッドを不必要に持ち上げてしまったり、不自然な方向に手首をねじったりしてしまうので、それでインパクト条件が一定にならないケースがあります。

D ライ角を維持したまま、それでもヘッドを真っすぐ動かすとすれば、背骨を地面と平行にして、その背骨を軸に体を回転させるという方法がありますね。以前、ミシェル・ウィ・ウエストがそれに近い形でパッティングしていたこともありましたが……。

目澤 本人に何の違和感もなければ、それでもいいとは思います。

D ただ、あえてショットからの連続性を途切らせてまで、パターだけ特殊な打ち方をする必要もないかと。

目澤 そうですね。

D もうひとつのストロークのミスは何ですか?

目澤 フェースを必要以上に開閉してしまうことです。ストロークにアークがある以上、フェースはわずかに開閉するのが自然ではありますが、その度合いが強すぎるということですね。

D パッティングストロークにもフェースの開閉が「ある」ことを意識してしまうと、それを自分でやろうとして過剰になってしまう?

目澤 そういう面もあると思います。有名パッティングコーチのスティーブン・スウィーニー氏(コリン・モリカワなどを指導)は、トッププロのインパクトゾーンを正面からの映像で見ると、インパクトでトウがヒールを追い越しているように「見える」と、アメリカの有料動画で言っていました。それを真似すると、フェースの開閉が大きくなりすぎてしまうと。

D 本来はどう動いているのでしょうか。

目澤 テークバックではディロフトし(ロフトが立ち)ながら、トウがヒールよりも開いて上がり、インパクトで「リロフト」する(ロフトが元に戻る)ときに、トウとヒールがぴったりスクエアになって、そこからはロフトが増えていきます。これは、タイガー(・ウッズ)を含め、パターの名手に共通の動きで、ローテーションというよりは、縦の「リリース」に近い感じになります。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年5月21日号「みんなのスウィング3.0Vol18」より

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