マスターズの翌週に行われたRBCヘリテイジ(サウスカロライナ州ハーバータウンゴルフリンクス)は、マスターズで2度目の優勝を飾ったスコッティ・シェフラーが2週連続の優勝を飾りました。第4ラウンドが月曜日に持ち越された今年のRBCヘリテイジ。ゴルフネットワークで解説を務めたプロキャディーの進藤大典氏に、話を聞きました。

向かうところ敵なし。シェフラーが安定のゴルフで勝利をつかむ

 一部の選手のプレーが持ち越された月曜日も、スコッティ・シェフラーが素晴らしいプレーを見せてくれました。おそらく17番のティーショットがグリーン乗った時点で、本人は優勝を確信したと思いますが、本当に見事な優勝でした。

 私自身もこの5日間、シャフラーのプレーを堪能したわけですが、本当にショットが素晴らしかった。他のプレーヤーがフェアウェイにボールを置くことに苦労していたのに対し、シャフラーは難なくフェアウェイをキープ。そこからグリーンを狙うショットも、シェフラーだけがハーバータウンGLの小さいグリーンにポンポン乗せて、簡単にバーディーを取ってくる。それはもう別次元の安定感でした。この勝利で、今季は直近5試合で4勝。凄いとしかいいようがありません。

 今季の好調の要因は、パターを替えたことでパッティングの不安がなくなったことにあると言われていますが、私はメンタルの成長が一番大きいような気がします。2年前に初めてマスターズで勝ったときは、最終日の朝、震えて泣いていたそうですが、そういう修羅場をたくさんくぐり抜けてきて、グリーンジャケットに2度も袖を通したことで、彼のメンタルの強さは、誰も届かないところまで到達しているんじゃないかと思っています。

 ただ、この好調がいつまでも続くかと聞かれると、なんとも言えません。特に今年はお子さんが生まれるということで、子育ての部分にも時間を割きたいでしょう。それにゴルフというのは、1年間好調をキープし続けるのは難しいスポーツ。必ず上手くいかなくなるときが来るはず。そういうとき、シェフラーがどんなメンタルで戦うのかというのも、少し見てみたい気がします。

 どうしてもシェフラーの話が中心になりますが、今大会で2位に入ったサヒス・スィガーラも素晴らしいプレーを見せてくれました。今季はまだ未勝利ですが、開幕からいいプレーを続けていて、ランキングも上位に付けています。スィガーラの良さは、飛距離の出るショットと、思い切りのいいパッティング。パッティングは、構えてから打つまでがすごく早いのですが、あれはパッティング対する不安がない証拠。あのリズムでプレーし続ければ、近いうちに昨季に続く優勝もあるんじゃないかと思います。

 なお今回は、松山英樹選手が出場しなかったことでガッカリされた方もおられると思いますが、ここら辺りで少し休むのもいいかと私は思っていました。心も体もリフレッシュして、また5月から暴れてもらいたいと思っています。

 さて、次戦は、ルイジアナ州のTPCルイジアナでチューリッヒクラシック オブ ニューオーリンズが開催されます。いつものトーナメントとは異なり、ダブルスで行われる同大会。R.マキロイとS.ローリー、P.キャントレーとX.シャウフェレ、C.モリカワとK.キタヤマが組むなど、「この2人は仲が良かったんだ」とか「こんなコンビもあるんだ」と組み合わせを見るだけでもワクワクします。TPCルイジアナも非常に美しいコース。ぜひ、いつもとひと味違う真剣勝負を楽しんでいただきたいです。

(写真:Getty Images)