ゴールデンウィークが間近に迫ってきた。連休中に家族や友人と遠出する機会も増えることだろう。こんな時に6名以上乗れるクルマがあると便利だが、普段使いや駐車場のスペースを考えると手頃なサイズがよい。そこで今回は、いざという時に6名以上乗れるコンパクトな乗用車を4台ピックアップ。扱いやすさと多人数乗車を兼ねたねらい目中古車を紹介したい。

個性的デザインのトヨタ シエンタ(先代)

 手頃なサイズのスライドドア式ミニバンとして一番人気はトヨタ シエンタ。2003年に初登場し、全長4100㎜の小さなボディに3列シートを備えたことで、コンパクトミニバンブームを加速させた。今回紹介するのは2015年に登場した2代目(170系)。特徴はなんといっても斬新な外観デザインだ。ミニバンといえばハコ型というイメージがあるが、2代目はトレッキングシューズをイメージした躍動感あるフォルムを採用。内装はオレンジのアクセントカラーとメッキ加飾、ピアノブラック加飾を組み合わせ、遊び心のある空間となった。そして気になる3列目シートは、従来モデルと比べてシート幅を70mm拡大し、大人でもしっかり座れるベンチ風シートが採用された。多彩なシートアレンジも可能で、小さいながらもミニバンとしての機能性を追求したのが魅力である。

 人気モデルゆえ、ライバルと比べても中古車物件は非常に多く、探しやすい。中古車価格帯は70万円〜280万円で、中古車平均価格は161万円と価格も手頃。特に2018年のマイナーチェンジ以前のモデルは、走行距離5万km以下でも100万円台前半の予算で買えるものが多い。なお、2018年に「ファンベース」と呼ばれる2列シート(5名乗車)のグレードが追加されている。3列シート車にこだわるなら、グレード選びもしっかり確認しておきたい。

良好な視界で運転がしやすいホンダ フリード

 コンパクトな3列シート車の先駆けは2001年に発売されたホンダ モビリオ。その後継となるのがホンダ フリードである。いずれもトヨタ シエンタのライバルで、スライドドアを備えたコンパクトなボディに3列シートを設定し、6名〜7名乗車が可能。今回紹介するのは2016年に登場した2代目で、全長4265mmのサイズは、2代目シエンタとほぼ同サイズ。大きなフロントウィンドウにより良好な視界を確保したほか、細いフロントピラーは見切りがよく、運転しやすいのが特徴である。また、6名乗車モデルでは3列目がキャプテンシートとなり、360mmのロングスライドができる。フルフラットモードなど多彩なシートアレンジも可能で、使い方はさまざまだ。

 中古車物件は豊富に流通し、中古車価格帯は100万円〜300万円。この価格帯は先に紹介した2代目シエンタよりもやや高め。これはフリードがまだ現行モデルであるため、シエンタほど値下がりしていないのが理由。中古車平均価格は203万円となっている。やや高値を維持しているもの、初期の物件は100万円台前半の予算でねらえるので、6名乗車のコンパクトモデルを探しているなら選択肢に入れておきたい。近々フルモデルチェンジを控えており、今後の相場ダウンも期待できそうだ。

スポーティな外観が魅力のホンダ ジェイド

 6名乗車がいいけど、見た目がミニバンっぽくないクルマが好みならホンダ ジェイドがおすすめ。2015年2月に発売された新型車ジェイドは、全長4650mm、全幅1775mm、全高1530mmの低いシルエットが特徴。足まわりや床下部品の小型化を徹底し、低床プラットフォームを採用している。このためミニバンのなかでは低車高だが、室内空間にはゆとりがある。特に3列目シートはフラットな足元空間を実現し、実用に耐えうるのが特徴といえよう。パワートレインは1.5Lハイブリッド(スポーツハイブリッド i-DCD)を設定し、JC08モード25.0km/Lという低燃費も見どころ。ホンダセンシングなどの安全装備も導入され、2018年5月の改良以降は全車標準装備となっている。また専用セッティングのサスペンションなどを採用した「RS」グレードも追加し、スポーティさにもこだわっている。なお、ドアはスライドドアではなく一般的なヒンジ式。

 すでに生産終了しているモデルだが、中古車はまだ十分に流通している。中古車価格帯は70万円〜250万円、中古車平均価格は146万円と手頃。グレードは「ハイブリッドX」が最も多く探しやすいが、非ハイブリッドの「RS」系も十分流通しており、好みに合わせたチョイスが可能だ。

安さにこだわるならトヨタ ウィッシュ

 2003年に登場したスポーティな7シーターがトヨタ ウィッシュ。当時は低車高ミニバンがブームになっており、各メーカーがさまざまなモデルを投入していた。トヨタ ウィッシュもそんな1台で、スポーティな外観とミニバンならではのユーティリティを両立したモデルだった。今回紹介するのは2009年4月に発売された2代目。車内10箇所にスピーカーを配置したパノラミックライブサウンドシステム、花粉除去モード付きオートエアコンなど、より快適な空間に進化した。パワートレインは1.8Lと2.0Lが設定され、当時としてはクラストップレベルの燃費16.0km/L(10・15モード)を実現している。

 ウィッシュは2017年に生産終了し、現在は中古車として購入するほかない。しかし中古車は非常に安くなっており、中古車価格帯は40万円〜150万円、中古車平均価格は87万円。手頃な7シーターとしては魅力的な存在だが、衝突被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全装備は付いていないので注意しよう。またこちらもジェイドと同じくヒンジ式ドアとなる。

車高やスライドドアで使い勝手が大きく変わる

 6名以上乗れる3列シート車は便利なクルマだが、スライドドアの有無で使い勝手が大きく変わることを知っておこう。シエンタやフリードはスライドドアを採用し、車高も高め。後席へのアクセスが良好なので、3列目シートの使用頻度が高いならこれらをチョイスしたい。逆にほとんど3列目シートを使わないのであれば、スタイリッシュかつスポーティなジェイドやウィッシュの魅力が光る。3列目シートの快適性もモデルによって大きく異なるので、購入前は実車をチェックするのが鉄則だ。

著者:グーネットマガジン編集部