『LIDET UWF Ver.4』新宿FACE(2024年4月17日)
○鈴木みのる&ケンドー・カシンvs藤原喜明&カズ・ハヤシ×

 カズがLIDET UWFラストマッチで鈴木&カシンの豪華タッグに敗退。「何があってもブレずに僕の戦い方ができた。カズ・ハヤシのラストLIDET UWFの試合という意味で、僕のしたかったことを伝えることができた」と満足げに振り返った。

 7月の引退を控えるカズがこの日、“LIDET UWFラストバウト"に臨んだ。カズはGLEAT入団後、UWFルールの試合に積極的に挑戦。戦績こそ振るわないものの30年のキャリアがありながら、チャレンジ精神旺盛に取り組んできた。

 最後のUWFルールとなったこの日、カズは“関節技の鬼"藤原と組んで、鈴木&カシンと対決した。鈴木とは全日本時代、チャンピオン・カーニバル優勝戦を争い、カシンとは世界ジュニア戦線でしのぎを削った間柄だ。

 カシンはなぜか桜庭和志のコスチュームで登場。カズ以外の3人はレガースを着用していないためキック攻撃が禁止となった。序盤から藤原と鈴木の師弟対決が実現。一本足頭突きを叩き込んだ藤原は鈴木が頭突き合戦に持ち込んでも返り討ちにした。

 コーナーに追い込んだ藤原は張り手を何発も打ち込む。鈴木も張り返したが、藤原はフロントネックロックで捕獲。そしてカズが登場し、カシンと向き合う。払い腰で投げたカズはカシンのタックルを切って飛び込ませず。鈴木が入ると、背後から藤原が羽交い絞め。カズはミドルキックを連発した。

 鈴木はヒモを使ってのチョーク攻撃でお返し。アキレス腱固めでカズを悶絶させ、藤原がカットに入ってもカシンがヒモによるチョーク攻撃で迎え撃つ。ならばと藤原は一本足頭突きを見舞ったが、LIDET UWFルールはカット禁止。収拾つかない状況に、レフェリーは両チームにイエローカードを提示し、双方とも減点1となった。

 再開になると、カシンがアキレス腱固めを仕掛けるが、藤原がアキレス腱を極め返してエスケープに追い込む。ならばと鈴木がアキレス腱固めを仕掛けても、藤原はやはりアキレス腱を極め返して鈴木は苦もん.カシンが鈴木の手を取ってロープエスケープにし、鈴木&カシンは残り1点となってしまった。

 鈴木も激しい張り合いに持ち込んだが、藤原が電光石火の脇固めで捕らえる。これはカシンがカット。怒った藤原はカズにタッチを渡すと、カシンを会場ロビーまで追いかけて乱闘。カズは鈴木相手にミドルキックを連発するものの、蹴り足をキャッチした鈴木がアキレス腱固めで捕らえる。カズも必死の抵抗で逃れ、ゴッチ式パイルもリバース。アキレス腱固めに持ち込んだものの、逆に鈴木がスタンドアキレス腱固めで絞め上げてカズをタップさせた。

 試合後、鈴木とカシンがカズの手を挙げて称えたが、次の瞬間、足をすくって転がすとダブルアキレス腱固めで悶絶させた。UWFルールらしからぬコミカルな展開も随所で見られたが、カズ自身は「最初から最後まで自分自身は自分の今まで養ってきたもの、LIDET UWFで田村さんに教えてもらってきてから、ずっとそれを最後まで貫けた」と満足げ。3ヵ月を切った引退試合へ向けて「最高のコンディション、普段と変わらない、いやそれ以上の、今以上のものをもって毎試合挑んでいく。プロレスラーであるからにはという姿を見せて引退まで突き進もうと思います」とあらためて意気込んでいた。

【カズの話】「最初から最後まで自分自身は自分の今まで養ってきたもの、LIDET UWFで田村さんに教えてもらってきてから、ずっとそれを最後まで貫けたということが僕の中でよかった。とにかく何があってもブレずに僕の戦い方ができた。カズ・ハヤシのラストLIDET UWFの試合という意味で、僕のしたかったことを伝えることができたんでね、満足しています。(引退へ向けては?)もう全力でやるのみですよ。僕は7月1日、最後の引退のリングでいろいろしゃべりたいことがありますので、そこに向けて最高のコンディション、普段と変わらない、いやそれ以上の、今以上のものをもって毎試合挑んでいく。プロレスラーであるからにはという姿を見せて引退まで突き進もうと思います」

【試合後の鈴木】

――藤原選手と師弟対決となったが?

▼鈴木「あのクソジジイが。別にいつ会っても一緒。あれもプロレスだし、これもプロレスだし。その一つ前にやった船木とアイツの試合もプロレスだし、メインでやった佐藤とアイツの試合もプロレスだし。イス持ってきて、ヒモ持ってきて、反則だってレフェリーに怒られながらやるのもプロレスだし。一通り、自分のプロレスの人生の中で経験して来て、ガッチガチのルールでもやってきたし、自由なルールでもやってきたし。今日、俺がやったのはこれが鈴木みのるの今日のプロレスのスタイル。今日のね。明日になったらまた違うかも。それは同じ会場、同じ団体であっても。俺もわかんない。気分でやってるから。楽しく。そもそもよ、昨日の夕方帰ってきたから眠いんだよ」

――カズ選手が引退前に最後のUWFルールとなったが?

▼鈴木「ナメてんな。UWFを自分とこで掲げて、看板担いで、ちょっと練習して、レガースつけてやろうっていうのは。もうとっくに俺もそうだし、藤原さんもそうだし、ケンドー・カシンもそうだし、とっくに超えてきてる場所なので。そりゃ遊ばれるよね」

――あの年齢とキャリアで挑戦するのも凄いが?

▼鈴木「そうなの? それはお前たちの考え方がちっちゃい枠でしか物事考えてないからじゃないの? 日本人はとにかくそうだよな。年齢がいくつだから、キャリアがいくつやってるから、こういうのを背負ってるから、お前らやりもしねえヤツらがそんなこと言ってるじゃねえか。50歳でやるのが凄い? へえ、負けたくせに。そんなこと言ったら10代でやってるヤツの方が凄いじゃねえか。違うのか? 若いヤツは可能性があるって、じゃあジジイは可能性ねえみたいじゃねえか。ふざけんなよ。お前ら、ちっちゃい、ちっちゃい枠の中でプロレス見すぎだよ。今、俺が見てんのは本当に文字通り世界だから。自分の足でありとあらゆるところに行って、そこにいる選手と戦って、時には数万人のスタジアムで生中継があって、時には誰が見てんだこの会場ってところで100人ぐらいのところで、アメリカのどのレスラーに聞いても『こんなとこにプロレスあんのかよ?』って言われるようなところに行って。楽しいぞ今。前より忙しいからな。ホントに忙しいからな。お前ら、みんなあれだろ? 俺が新日本出なくなったから都落ちぐらいに思ってんだろ? (笑)あんなちっちゃい枠に俺は収まんないんだよ。収まりきらないんだよ。世界ってよ、山の上に行くのがみんな世界と思ってるけど、違うよ。世界はもっと広いんだよ。ありとあらゆる人間がいるんだよ。ありとあらゆる国にもプロレスがあるし、そこで鈴木みのるをみんな待ってんだよ。世界中の人間が『風になれ』って叫びたくてな。やってることは一緒な。イス持って、ひっぱたいて、ゲラゲラ笑って殴って。それは一緒だよ。何も変わらない。みんなが見たいのはその姿だ。お前らホントにね、ちっちゃい枠で見すぎ。自分の生まれ育った環境、小学校入って中学行って、高校行って、大学行って、会社に入って。で、次のステージを見て、こういう枠を見て、その枠、僕じゃわからない、考えられないな? 何言ってんだよ。レスラーもっとすごい世界でみんな戦ってんだから。そもそも殴り合いして金稼いでんだから。今日出た全員がそうだろ。女の子だってそうじゃねえか。殴って蹴って金儲けしてる。こんな商売ないんだぜ。お前らの知るところじゃないんだぜ。だから自分たちの常識で俺たちレスラーを見ないでほしい。とんでもないことやってんだぜ。これ街中でやったら捕まっちまうけどな、人前で金取ってお客集めたら商売になるんだよ。誰が強いかみんな知りたいんだから。こんな幸せな商売やってんだから邪魔しないでくれ。お前らの常識で俺を測るんじゃねえ。お前の常識なんかよ、俺がピシャっとやったら潰れちまうような常識だろ? しびれるぜ。誰も知らない、誰も知り合いのいない、わけのわかんない初めて行く国とか。生きてるって感じするよ。今凄く充実してる。GLEAT、今日はLIDET UWFではあったけど、またGLEATにも若いイキのいいのいっぱいいるからな。殴られたきゃまた俺のこと呼べ」