加速する円安の影響は“ニセコバブル”のマチに何をもたらしているのか。大型連休中のニセコを取材して見えてきたものとは。
 
コロナ禍明けと円安を追い風に、多くの外国人観光客でごった返していた北海道後志地方の倶知安町ニセコのひらふ地区。

その物価の高騰ぶりは「ニセコバブル」とも呼ばれるようになりました。

こうした中、29日の外国為替市場では円が一時、1ドル=160円台に。1990年4月以来、34年ぶりの円安水準となりました。

30日の倶知安町ニセコのひらふ地区です。

ウインタースポーツのハイシーズンは終わったものの、加速する円安の動きで、多くの外国人観光客が訪れているのを期待しましたが…その姿はほとんどありませんでした。

営業期間も、残りわずかとなったスキー場を訪ねてみると…。

大竹彩加アナウンサー
「スキーシーズン終盤を迎えたこちらのスキー場では、最後の雪を楽しもうと外国人観光客が訪れています」

ではニセコに訪れている外国人観光客は、34年ぶりの円安をどのように捉えているのでしょうか。

アメリカからの観光客
「日本人が、アメリカやヨーロッパのようなところに行くのは、いま高値でとても難しくなっていると思う」「でも私たちが素晴らしい旅行をするには何の問題もない」

ドイツからの観光客
「食べ物などすべてが予想よりずっと安いし、ホテルもドイツよりずっと安いので私たちにとっては良かった」

大竹彩加アナウンサー
「スキースノーボードのレンタルショップです。仕入れ値が上がっている中、円安による嬉しい影響も出ているそうです」

記録的な円安は、外国人向けのアウトドアショップにもある変化をもたらしています。

リズムジャパン ニセコ店の責任者
「特にドルと比べた円安は、人々が訪問するためのよいきっかけになっている」「アメリカからの観光客が大幅に増えました。これまでは(アメリカは)国別で上位5番目だったが、いまは2番目」

倶知安町ニセコのひらふ地区では、次のハイシーズンに向けて新しいホテルの建設や改装工事も始まっています。

地元の不動産業者は、円安によって、ニセコの土地や建物は、海外からさらに注目されるだろうと予測しています。

30日午後5時時点の東京外国為替市場では、1ドル=156円台後半となった円相場。記録的な円安の動きは、北海道内の観光地にも、大きな影響を与えています。

ニセコを訪れる外国人観光客の数を、季節ごとに見ると、意外な事実が見えてきます。

倶知安町がまとめた2022年度の【観光客の入り込み数】です。

ウインターシーズンは1か月で10万人を超える一方、4月から6月の3か月と、10月と11月の2か月は、観光客数が少ないことがわかります。

続いて、宿泊客の延べ数について【日本人と外国人の割合】を示す円グラフです。

ウインターシーズンでは8割近くが外国人です。

ところが5月以降の、いわゆる“グリーンシーズン”では、9割以上が日本人に変わります。

私たちの暮らしにも大きな影響をもたらす“記録的な円安”は、果たして、いつまで続くのでしょうか。