【ニューヨークからお届けします】

 11月のアメリカ大統領選は、バイデン大統領とトランプ元大統領の一騎打ちに決まりました。その2人の健康状態への懸念が、繰り返しメディアを騒がせています。

 バイデン大統領は81歳、トランプ大統領は77歳で2人とも高齢です。次の4年間大統領という激務を務めることができるのかという不安を、有権者が抱くのは当然です。

 演説中に2人が人の名前を言い間違えたり、口ごもったりするたびに、やはり年齢的に無理なのではないか、他に候補はいないのかという憶測が飛び交っています。

 しかし医療の専門家は、「こうした見かけだけで判断してはいけない。大統領の仕事に耐えられる健康状態であるかどうかは、医師による詳しい健康診断の結果を見なければわからない。」と警鐘を鳴らしています。

 問題は、こうした健康診断の結果がほとんど公表されていないことです。

 ニューヨークタイムスによれば、2008年の大統領選では、当時71歳だったジョン・マッケイン候補が、健康状態に関する1000ページ以上の報告書を公開しました。

 ところが、今回2人の候補から出てきた情報はずっとわずか。バイデン氏の医師が6ページの報告書を今年2月に、トランプ氏は昨年11月に医師からの1ページにも満たないメモを公開しただけ。いずれも2人の健康を保障すると書かれてはいますが、特に認知機能やメンタルの状態など、有権者が知りたい情報はありません。

 こうした情報の少なさも、さらなる憶測を呼ぶ原因になっています。

 そこでニューヨーク・タイムズが2人の候補者に詳細を問い合わせたところ、トランプ氏からは返事がなく、バイデン大統領からの返事には、肝心のメンタルに関する情報は含まれていなかったとのことです。

 どちらが勝っても史上最高齢の大統領の誕生に、アメリカの有権者は拭い去れない不安を感じています。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)