家計を直撃している物価の高騰。さまざまな影響から、食品の値上げが相次いでいます。節約のため特売や底値のときにまとめ買いし、上手に活用したいところ。そこで、冷凍食品メーカー・株式会社ニチレイフーズ広報部マネージャー・笹嶺舞依子さんに、家庭でできる食材の冷凍について取材。家庭で野菜を冷凍ストックするコツに続き、肉や魚を冷凍保存するポイント、時短につながる便利な冷凍ストックレシピをお聞きしました。

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「保存袋に入れる際はできるだけ薄く」 早く凍らせるのがポイント

――野菜だけでなく、主菜となる肉や魚も冷凍ストックしたいです。今回は、肉や魚を冷凍する際のコツやポイントを教えてください。

「一部、重複する点もありますが、肉は3つ、魚は4つの基本ポイントを押さえましょう」

○肉の冷凍3つの基本
1. 肉についたドリップを拭き取る
 ドリップがついたまま冷凍すると、霜や臭みの原因になります。キッチンペーパーなどでしっかり拭き取りましょう。

2. 冷凍用保存袋に肉を入れ、空気を抜きながら密封する
 肉を入れた保存袋を平らな場所に置き、手で上から押しながら空気を抜いて密封し、酸化を防いでください。また、薄くすることで冷凍が早くなる利点もあります。

3. 冷凍庫内は“平ら”にして早く冷凍する
 急速冷凍機能があれば、積極的に活用。なければ熱伝導の良い金属製のバットの上や、密封してからアルミホイルで包みましょう。平らな状態で冷凍庫に入れると、早く均一に冷凍できます。

○魚の冷凍4つの基本
1. 鮮度の良い魚をその日のうちに冷凍
 魚は傷みやすいため、鮮度の良い魚をすぐに冷凍保存することが大切。購入当日中に、冷凍処理するのがベストです。

2. 下処理し、しっかり水分を拭き取る
 魚は内蔵から傷み始めるため、エラ、内蔵、ウロコを冷凍前に取り除いてください。切り身の場合も、臭みの原因となるドリップを拭き取りましょう。

3. 冷凍用保存袋で密封する
 ラップに包んだだけ、ビニール袋に入れただけで冷凍すると乾燥や酸化の原因に。冷凍用保存袋を使い、空気を十分に抜いて密封してください。

4. 急速冷凍を心がけておいしさキープ
 厚みがあると冷気が伝わりにくいため、保存袋に入れる際はできるだけ薄く。冷凍庫に急速冷凍機能がない場合は、金属製のバットの上や密封してからアルミホイルで包むなどし、早く冷凍できるようにすると良いでしょう」

冷凍ストックで下ごしらえ 忙しい日に使える時短レシピ

――冷凍することで「時短」かつ「おいしく」なるような、おすすめのレシピはありますか?

「冷凍や冷蔵商品として販売されている『豚汁の具』は、家庭で自作可能です。ニンジンや大根、シイタケ、長ネギ、油揚げなどお好みの具材を切ったら冷凍用保冷袋に入れ、袋を振って全体を混ぜたら空気を抜いて冷凍。豚肉は3〜4センチに切り、1食分ずつラップでぴったり包んで、別の冷凍用保冷袋に入れて急速冷凍しましょう。野菜などの具材と豚肉は、衛生上の問題と使い勝手を考慮して、別々に冷凍するのがポイントです。

 作る際は、凍ったままの豚肉を鍋で炒め、肉の色が変わり始めたら野菜ミックスを同じく凍ったまま加えて炒め、だし汁とみそを加えて煮るだけ。冷凍した野菜は、火の通りも早く時短調理が可能です。

 ちょっと変わったところでは、親子丼の具も冷凍保存が可能です。冷凍用保冷袋にひとくち大に切った鶏肉と、薄切りにしたタマネギ、ショウガを入れます。そこにめんつゆ、水、砂糖を加えたら、空気を抜いて袋を閉じ、冷凍庫で急速冷凍しておきましょう。あらかじめ下味冷凍しておけば、調理時間を短縮できます。作るときは凍ったままフタをして4〜5分、煮立ったらフタをはずして1分半ほど加熱し、卵を回し入れて火を止め、器に持ったら完成です」

 市販されている商品が、自作できるのは意外な発見。具だくさんのみそ汁は、一品で栄養バランスが取りやすくなるうえ、食卓が豊かになります。下味冷凍も、夕食の準備が遅くなってしまったときなど、心強い味方になってくれそう。家庭でできる冷凍ストックを積極的に活用して、時短や節約に役立てたいですね。

Hint-Pot編集部