将棋の第9期叡王戦五番勝負第2局が20日、石川県加賀市「アパリゾート佳水郷」で指され、後手の藤井聡太叡王=竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖との八冠=が挑戦者の伊藤匠七段に敗れた、八冠制覇後のタイトル戦では初黒星となった。タイトル戦での連勝記録は16でストップし、大山康晴十五世名人が持つ歴代最多記録17には届かなかった。

 今年度のテーマを「これまであまり指していない形も指すこと」とする王者・藤井が新戦法を繰り出した本局。藤井は10手目で伊藤の角を取らず、一度自陣で角を上がってワンクッション。デビュー以来、初めて「3三金型早繰り銀」を選択したが、勝利はならなかった。

 八冠制覇を目指して戦っていた23年8月31日の王座戦第1局(対永瀬拓矢九段)の後、タイトル戦では負けがなかった藤井がここで7か月ぶりのタイトル戦黒星。伊藤にとっては対藤井13戦目、タイトル戦では10戦目にして初の白星となった。