将棋の第95期棋聖戦五番勝負第3局が1日、愛知県名古屋市の「亀岳寺万松寺」で指され、藤井聡太棋聖=竜王、名人、王位、王座、棋王、王将=に挑戦した先手の山崎隆之八段は100手で敗れ、開幕3連敗で敗退した。

 2009年に羽生善治王座に挑戦して以来2度目の大舞台。先手を生かして「力戦的な、一番嫌な、見られない形で指してみた。自分なりに模索して戦った」と奮闘したが、藤井棋聖の攻めに屈し「さすがの指し回し。チャンスが回って来なかったかな」と残念がった

 それでもシリーズ全体について「1、2局目が少し慎重になり過ぎて、やりたい手ができず、差が開いて負けてしまった。3局目は指したい手を指し、自分なりにベストを尽くそうと思っていた。踏ん張ったが、読み負けで、シリーズを通して完敗かな」と、やり切った様子。

 それでも15年ぶりに味わった緊迫感に「タイトル戦に出られるのは幸せなこと。もっと強くなって挑戦したかった。すごく高い目標。楽しかったですが、もっと強ければ、将棋の楽しさは無限にあったのかなと、改めてそういう気持ちになった」と振り返った。

 大盤解説会では、指し手が読みにくい“山崎ワールド”を堪能したファンから大きな拍手がおくられた。山崎は「3局目はのびのび指せた。3局目のような感じで指していけば、藤井棋聖以外なら勝つチャンスがあったかもしれない。面白い将棋をお見せできるよう、一から頑張ります」と3度目のタイトル戦へ意欲を示した。