◆JERA セ・リーグ 阪神2―0巨人(17日・甲子園)

 巨人が11残塁の拙攻で阪神に今季2度目の零封負けを喫し、連勝は6でストップした。今季初先発の赤星優志投手(24)は5回2失点と粘ったが、3回に森下の中堅後方への飛球に対して佐々木が足を滑らせ捕球できず、不運な形で2点二塁打を許した。2回無死三塁、4回無死満塁など再三のチャンスを生かせなかった巨人は、首位・中日とのゲーム差を1・5差に広げられた。

 試合後のスコアボードが両チームの対照的な攻撃を表していた。巨人が8安打無得点で、阪神が3安打2得点。阿部監督は8回まで毎回11残塁の拙攻に「紙一重だ。どうやったら点が入るか今日寝る前に考えて寝ようかなと思います」と課題を持ち帰った。雷雨による10回表コールド引き分けから一夜明け、甲子園第2戦は今季2度目の完封負け。取れる場面で得点できなかったことが響いた。

 局面〈1〉 0―0の2回無死三塁

 先頭の丸が右中間三塁打で出塁。7番・岸田の打席で阪神の内野はゴロで1点OKの定位置。転がせば先制という状況だったが、空振り三振に倒れた。8番・吉川の打席では前進守備となり、二ゴロに倒れ、本塁憤死となった。

 局面〈2〉 0―2の4回無死満塁

 吉川の打席で阪神の内野は前進せず二遊間は二塁での併殺を狙うシフト。一、三塁手は打球次第で本塁封殺を狙う状況だったが、痛烈な一ゴロで本塁封殺。「たられば」になるが、二ゴロか遊ゴロでも1点は確実に入っていた。1死満塁から9番・赤星、1番・萩尾も倒れ、本調子ではなかった巨人キラーの天敵・伊藤将からの得点機を逃した。

 本塁打数リーグ1位ながら得点力不足に苦しんだ昨年の反省を糧に、キャンプから「1点を取る打撃」を特訓。阿部監督は「打つだけでは勝てない」と自己犠牲の考えを浸透させた。フリー打撃では「1死三塁」など、各自が状況を設定して内野ゴロや犠飛で得点を挙げるチーム打撃のみを行う練習を導入し、意識改革に努めてきたが、昨年3勝10敗と苦戦した甲子園で発揮できず、今季の甲子園初勝利はお預けとなった。

 守備では3回2死一、二塁から森下の痛烈な飛球に対し、中堅・佐々木が目測を誤り、前進してから慌てて下がろうとした際に足を滑らせて転倒。頭上を越されて2点二塁打となった。「実力不足です」と振り返った新人について、阿部監督は「こっち(三塁ベンチ)から見たら完全にすっ転んでたけどね。本人も滑ろうと思って滑っているわけじゃないから。いい経験をしたんじゃないかな。スパイクの刃をあと1・5ミリぐらい長くしとけばいいかな。それぐらいかな」と巻き返しに期待した。

 85年のバース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発以来、39年ぶりの4月17日、水曜日の甲子園での伝統の一戦。阪神側が歴史的な日として盛り上がる中、投手陣は3回の3連打のみに抑えたが、得点圏打率2割9厘の攻撃陣の拙攻で、結果的にその3安打2失点が決勝点になった。安打は出て好機は作れているだけに、悲観する必要はない。18日の3連戦3戦目で昨年から続く甲子園の嫌なイメージを払しょくしたい。(片岡 優帆)