ドイツ1部・フランクフルトの元日本代表MF長谷部誠(40)が17日、今シーズン限りでの現役引退を表明した。日本代表では歴代最多の81試合で主将を務め、10年南アフリカ、14年ブラジル、18年ロシアと3度のW杯に出場。今季はドイツで現役最年長選手としてプレーしてきたレジェンドが、輝かしい選手としてのキャリアに終止符を打つことを決断した。

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 代表選手の間で「長谷部か!」というかけ声が流行(はや)った。長谷部が主将を務めていたザック・ジャパンから西野ジャパンの8年。優等生的な言動をする、または周りの空気を読まず、ノリが悪い選手に向けて「マジメかよ」という意味で使われた。主将を茶化して笑いを取る場合もあったが、多くはリスペクトが込められていた。

 長谷部は「日本人、代表の誇りを持って」とよく口にした。代表ではよく聞かれるが、それまで実践できた選手は多くなかった。シーズン中にアルコール類を摂取しない。前夜から練習の準備を始める。「結構(注意を)言うので、若い選手はうっとうしかったかも」という厳しさがあった。突き詰める姿勢、ブレない言動に、監督、同僚は信頼を寄せた。

 2008年にドイツへ渡った長谷部の背中を、多くの選手が追いかけた。練習時間から逆算する家の過ごし方なども長谷部をまねした選手は多い。内田篤人さんは「これだけは誰にもあげられない」と交換した長谷部のユニホームを大事に飾っていた。FW大迫勇也(神戸)も意識改革で参考にした一人だ。

 日本代表としてどうあるべきか。数々の結果とともに、長谷部はサムライブルーの気概をつくった。(2002〜04、06〜22年日本代表担当・内田 知宏)