レスリング男子グレコローマンスタイル77キロ級でパリ五輪代表の日下尚(三恵海運)が18日、優勝したアジア選手権(キルギス)から成田空港に帰国した。決勝で世界王者のアクジョル・マフムドフ(キルギス)を4―2で破り「世界で通用する自信がついた。世界に『日下もいるんだぞ』っていう証明になった」と手応えを示した。

 マフムドフとの決勝は完全アウェーの戦いだった。相手への大歓声と自身に向けられたブーイングの中で、昨年の世界選手権準決勝で敗れた雪辱を果たした。「本当に歓声がすごくて、自分が勝ったのに相手のコールが起こるぐらい敵地だったけど、逆にそれを楽しいと思えた。相手の歓声も黙らせることができたのは最高だった」と強心臓ぶりを発揮した。

 香川県出身。名物のうどんで培ったコシの強さが自慢だが、2月末に腰を痛めた。検査の結果、腰椎の数が通常より1個多く、腰に負担がかかりやすいことが発覚。「ちょっと腰が強すぎたあまり、腰に負担がかかってしまった」と苦笑い。3週間ほど練習ができず、不安要素もあったが、現地にうどんを持参して充電。相手の攻めも「太麺のようなコシ、体幹で耐えた」と胸を張った。

 昨年の世界選手権銅メダルから4大会連続の表彰台に立ち、国際大会初優勝も飾った。パリ五輪では金メダルへの期待もかかる。今後は6月にも1試合挟み、本番に向かう予定だ。「人生を変えるために、パリ五輪の金メダルを目指している。強い思いを持って、より一層頑張りたい」と表情を引き締めた。