◆JERA セ・リーグ 阪神2x―1巨人=延長10回=(18日・甲子園)

 阿部監督は勝負をかけた。点をもぎ取るぞ、という決意を采配で示した。そして、その勝負に勝った。だが、吉川にはベンチの強い思いが伝わらなかったのか。ガッカリさせられる打席で、せっかく引き寄せかけた流れも手放し、その裏のサヨナラ負けにつながった。

 延長10回1死一塁、小林が初球、バントの構えからボールを見送り。2球目もバントの構え。私もバントだと思い込んでいた。だが、一塁走者の代走・重信がスタート。阿部監督がギャンブル的な作戦を仕掛け、二盗を成功させた。

 小林が遊ゴロに倒れて吉川の打席。その初球、甘い球を見逃した。なぜ打ちにいかないのか。ベンチが勝負をかけて作ったチャンスなのに、なぜ選手が勝負しないのか。その後、ボール球の変化球に手を出して追い込まれ、直球に“着払い”の振り遅れの三振。最後は変化球を待っていたのだろうが、球種を絞る場面ではない。前に飛ばせば何かが起こる、という必死さがなかった。

 この3連戦で計2得点。点が取れないムードに押されて受け身になるのではなく、各打者が仕掛けてほしい。

(スポーツ報知評論家・福本 豊)