J1北海道コンサドーレ札幌MF荒野拓馬(31)が、Jリーガーを夢見る子どもたちに勝利を捧げる。札幌は25日、ホーム・湘南戦(27日)に向けて宮の沢で調整した。同戦から本拠地のデーゲームに札幌地区サッカー協会所属の小学生を招待する活動を、荒野が開始する。初回は約70人が訪れ、試合後には交流会も行う予定で「初戦だし、絶対に勝たないといけない」と、3試合ぶり白星だけを思い描いた。

 昨年までの同活動は荒野が「お兄ちゃんみたいな存在」と慕う札幌下部組織の先輩・MF西大伍(36)が行っていた。今季、J3盛岡に完全移籍した西から後継者に指名され「毎試合、子どもたちを招待したい気持ちはずっとあった。大伍君の意思を継いでいきたいという思いだった」と即決した。自腹での活動は、100人を超えることもあり得るが「そこにお金を使うのは苦じゃないし、大事なこと」。未来ある少年少女に、プレーで夢を与えていく。

 もう一つ、奮起する理由がある。湘南の主将は今季、札幌に17年から3年半所属したDF金眠泰(30)が務める。「ミンテも僕同様、苦しいチーム状態の中で引っ張っている。ともに立て直せるようにシーズンを戦えれば」。同じ降格圏の18位にいる相手の立場をそうねぎらいつつも、最下位脱出へ、当然、勝負にはこだわる。「同じ残留争いしている相手、絶対に負けられない6ポイント(勝ち点6)の戦いだと思うので。しっかり僕たちが勝って、次につなげたい」と意気込んだ。

 今年、元同僚との主将対決はユースの同期のDF奈良が務める福岡には0―0、1学年下のDF堀米の新潟とは1―1と、いずれも引き分けた。荒野が“初勝利”を手にし、5月の反撃へとつなげる。(砂田 秀人)