◆JERA セ・リーグ DeNA7―2巨人(26日・横浜)

 勝てば首位タイ浮上の一戦で鉄壁の方程式が崩れ、巨人がDeNAに痛恨の逆転負けを喫した。1点リードの8回に2番手でマウンドに上がった西舘勇陽投手(22)が1死二塁で佐野に適時二塁打を許しプロ11戦目で初失点。続く、牧にも勝ち越しの適時二塁打を許して降板しプロ初黒星を喫した。その後、救援陣も止められず度会に満塁弾を浴びるなど、この回一挙6失点で試合が決まった。

 終盤の逆転負けにも阿部監督は試合後すぐ気持ちを切り替えた。ルーキーの西舘が11登板目でプロ初失点、初黒星。現実を受け入れ、サバサバした表情でベンチ裏の取材に応じ、「もう責められないピッチャー陣は。すっきりした負け方だったからね。よく粘ったけど」と引きずる様子を一切見せなかった。

 2―1の8回。7回まで99球1失点の戸郷に代わり西舘が登板した。1死二塁から佐野に左中間への同点二塁打。続く中大の先輩・牧には2ストライクから3球目、内角149キロを左越え勝ち越し二塁打とされ、阿部監督がベンチを出て船迫への交代を告げた。「いつかは点を取られるから。こういう形で悔しい思いをして。失投だったね。プロは甘くないって分かったと思うし」と責めなかった。

 前日25日の中日戦(東京D)では開幕から10試合連続無失点、新人では史上初の開幕から10試合連続ホールドをマークした。連投で臨んだ横浜スタジアムのDeNA戦。敵地の大歓声、近隣の山下ふ頭で行われたイベントの花火の音が鳴り続く異様な雰囲気の中、プロの洗礼を浴びた。

 杉内投手チーフコーチは「プロの世界なのでこれを乗り越えないと先に進めない。(ベンチで)死にそうな顔してたから『まだ4月だぞ!』って言ってね」と明かした。だが、試合後の西舘は普段と変わらず前を向いて報道陣の質問に答えた。「結果球で(捕手の大城卓が)構えたところより全部甘く入ってしまったところが一番の反省です。ボール球でいいところが、中に入ってしまった。切り替えて次の試合に向けてやっていきます」。マウンド上では常にポーカーフェースを貫く強心臓ルーキーらしい一面が見えた。

 牧の適時二塁打の場面。巨人の外野は超前進守備を取った。阿部監督は「もう勝負をかけてね」と勝ち越しの二塁走者を単打で本塁にかえさないために思い切ったシフトを選択。結果的に打球は左翼・丸の頭上を越されたが、攻めた上での結果で悔いはない。

 11勝10敗3分けでまだ1つ貯金がある点はプラス要素だ。打線は21年以来3度目、球団ワーストタイの12試合連続3得点以下となったが、「タラレバを言ってたら明日になっちゃうからね」と阿部監督。西舘についても「明日以降また頑張ってくれればいい」と糧にすることを期待した。(片岡 優帆)