◆第29回NHKマイルカップ・G1(5月5日、東京・芝1600メートル)

 3歳マイル王決定戦の第29回NHKマイルC・G1(5日、東京)の出走馬が2日、確定した。開業5年目の吉岡辰弥調教師(48)=栗東=は、ともにマイル重賞勝ちのディスペランツァとノーブルロジャーの2頭出しでG1初制覇に挑む。

 先週の天皇賞・春は、5番人気のブローザホーンが2着。管理する吉岡調教師は、7度目のG1挑戦で初めて愛馬が馬券圏内に入った。今週もNHKマイルCへの強力2頭出しでG1タイトル取りへ挑む。

 1勝クラス→アーリントンC・G3と連勝し、勢いに乗るディスペランツァは、谷川牧場(北海道浦河町)の生産。吉岡師が中学卒業後の約1年半、働いていた牧場だ。「そのつながりで、駆け出しの調教師に、毎年いい馬を預けていただいて」と感謝する。

 もう一頭のノーブルロジャーも、前走の毎日杯こそ道悪適性の差で敗れたが、シンザン記念を勝っており甲乙つけがたい存在。オーナーのノルマンディーサラブレッドクラブは、20年3月15日に厩舎の初出走初勝利を飾ったトゥインクルリーフも所有していた。「山内厩舎(20年3月3日解散)から引き継がせてもらってからのお付き合いです。お世話になっているオーナーの2頭でG1に挑めて、こんなにうれしいことはありません」と笑顔を見せる。

 08年3月から名門・角居厩舎(21年2月解散)で助手として積んだ経験が今に生きている。「ウオッカやカネヒキリ、いい馬がたくさんいましたからね。すべてがいい経験でした。G1だから高ぶることはせず、自然体で馬に接することを学びました」と今回もプレッシャーは感じていないという。「ノーブルは前に行けて、ディスペランツァはしまい確実なので」と、マイル重賞V実績のある2頭に自信の口ぶり。厩舎初のG1の勲章は確実に視界に入っている。(玉木 宏征)

 ◆吉岡 辰弥(よしおか・たつや)1976年3月2日、京都府生まれ。48歳。93年に栗東・藤岡範士厩舎で厩務員、助手を務め、08年から栗東・角居勝彦厩舎に移籍し、サートゥルナーリアなどを手がけた。20年3月に栗東で開業し、JRA通算116勝(うち重賞4勝)。趣味はゴルフで、アベレージは90。好きなお酒はハイボールで「出走のない休日は、飲みながらグリーンチャンネルを見ています(笑い)。出張先で食べることも好きです。特に肉ですね」。家族は妻と二女。