◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者・井上尚弥―WBC同級1位ルイス・ネリ(6日、東京ドーム)

 世界4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が、WBC同級1位の挑戦者ルイス・ネリ(メキシコ)を6回1分22秒、TKOで粉砕し、4団体王座を防衛。1回にまさかのダウンを喫したが“モンスター”の強さを見せつけ「1ラウンド目にダウンしたが、最終的にKOで勝つことができた。自分の中でいいキャリアを築けた」と、会見では充実の表情を浮かべた。

 1回1分50秒すぎ、ネリの左をまともに食らってダウン。井上は「出だし、ひよってたところがあった」と振り返った。1990年2月のマイク・タイソン―ジェームス・ダグラス戦以来、34年ぶりに東京ドーム開催となった一戦は、4万3000人の観客を集めた。

 「すごくパワーをもらっていたけど、それだけの重圧が今振り返るとあったかなと。入場してきた時に東京ドームの雰囲気を見て、舞い上がってはないけど浮き足立つというか、そういうシーンはあった」と井上。それでも「ダウンしてから、冷静に立て直すことができた」と挽回して見せた。

 プロ27戦目で初めてダウンを喫してからは「2R目からは、ポイントを計算していこうかなと。あのダウンがあったからこその戦い方ができた」。2回に左でダウンを奪い返すと、4回には「気持ちの面で上回らないといけない。かけひき」と、トリッキーなステップでネリをほんろう。5回に2度目のダウンを奪うと、6回には強烈な右でネリをしずめた。

 勝利後のリング上では、次戦はWBO、IBFの同級1位のサム・グッドマン(オーストラリア)を招き入れ、対戦を発表。井上は「9月頃と聞いているので、調整を重ねていい試合ができるように戻ってきたい。期待してください!」と力強く語った。

 ◆東京ドームでのプロボクシング興行の観衆 88年は5万1000人、90年は5万1600人。日本人ボクサーがメインの試合で過去最多は1952年5月19日に後楽園球場で行われた王者ダド・マリノー挑戦者・白井義男の世界フライ級タイトルマッチの4万5000人で、白井が日本史上初の世界王者となった。