◆米大リーグ カブス3×―2パドレス(7日・米イリノイ州シカゴ=リグレーフィールド)

 カブスの今永昇太投手(30)が、本拠のパドレス戦に先発。7回0/3を7安打8奪三振2失点の力投を披露。自身に勝敗は付かなかったが、チームは3―2でサヨナラ勝ち。登板した7試合でチームは全勝という“不敗神話”を継続した。

 今永が悔しさをにじませた。メジャーで初めて立った8回のマウンド。無死一塁からの102球目。プロファーに左中間へ痛恨の逆転2ランを浴びた。「配球も球種も間違いではないと思うが、思い返せば投球テンポが一定になって時間に迫られていた」。ここで降板となったが、7回までスコアボードに0を並べた左腕に大きな拍手が送られた。

 チームは8回に松井から1点を奪って追いつき、9回、ブッシュのサヨナラ弾で逆転勝ち。今永の初黒星は消えた。デビューから7戦連続自責2点以下は22年のファエード(タイガース)に並ぶメジャータイ記録。新人左腕を支えるM・アマヤ捕手は「今永の闘志が、チーム全体を燃え上がらせた。素晴らしい化学反応を起こしている」と“負けない男”の理由を分析した。

 DeNA時代からの「投げる哲学者」の愛称は米メディアにも浸透。6回1死一、二塁の危機を連続三振で切り抜けた際の大歓声について質問され「幸せな瞬間だった。最近寝起きが悪いので、あの歓声をアラームに使いたい」と話しニヤリ。英語に訳されると会見場が爆笑に包まれた。

 7回まで自己最多の95球に達していながらの続投は「8回のマウンドに上がる信頼を、この7試合で得られたことが一番価値がある。自信にしていいと思う」。防御率1・08もメジャートップで、MLB公式サイトでは現時点での今季最大の成功補強として選出された。大きくなる周囲からの注目度をよそに、足元を見据えられるのもまた今永の強みの一つだ。

 ◆今永に聞く

 ―サヨナラ勝ちの瞬間は。

 「登板後のストレッチをしていたので、慌てて服を着替えてグラウンドに行った」

 ―試合を振り返って。

 「直球をベルトより上に投げられたところが一番良かった。6回に確実に試合のターニングポイントになる場面でマチャド、ボガーツを迎えて、三振が取れたらいいなと思っていて、それが実行できた。逆転されて悔しいが、チームにチャンスがある中でバトンタッチができた」

 ―8回の本塁打は。

 「8回、すんなりいかないだろうと思ったところ、先頭を出した。ゲッツーを取りたいところでうまく運ばれてしまった。あそこで淡々とアウトが取れたら、一層の信頼を得ることができたと思うし“当たり前”のレベルを上げてもらえる。その悔しさはある」

 ―ここまで7試合でチームが7勝。

 「自分が作り上げたというより、たまたま結果が重なっている感覚がある。しっかり投げ切って、俺が抑えたんだ、という感情になりたい。長年やっている選手のように、早くそういう技術とマインドをそろえたい」