能登半島地震による大規模火災で大半が焼失した輪島市の「輪島朝市」が4日、金沢市金石西1丁目の県漁協金沢支所周辺で出張開催された。3月23日以来、2度目の開催で、輪島市朝市組合の組合員ら40店が鮮魚や干物、輪島塗のおわんなどを販売した。県内外から約9500人が訪れ、至る所で再会を喜び、再起へ励まし合う姿が見られた。

  ●再会喜ぶ

 会場前では朝から200人以上が列をつくり、予定より30分早い午前7時半に開場。朝市のシンボルであるオレンジ色のテントの下、「安するよ」「うまいよ」などの声が飛び交った。

 静岡県から家族6人で訪れた会社員増田翔大さん(25)は「輪島は朝ドラ『まれ』の放送時に訪れた思い出の場所。おいしい海産物をたくさん買って応援したい」と話した。

 店舗が全焼した海産物店「ふるくら」は今回が出張朝市初出店で、古倉信吾さん(47)が被害を免れた自宅で仕込んだ干物などを販売した。古倉さんは組合員や常連客との再会を喜び「『頑張れ』『お釣りはいらないから』と声を掛けてもらって、前向きに頑張ろうと思えた」と目を潤ませた。

  ●合唱、吹奏楽で応援

 特設ステージでは、金石、大野などベイエリアの子どもたちでつくる「うみの合唱団」とほくりくアイドル部が能登復興の思いを込めて「勇気100%」を歌った。金石町中吹奏楽部やプロ和太鼓奏者今井昴さん(輪島市出身)も演奏で盛り上げた。

 実行委によると、大型連休以降は金沢のほか、兵庫や愛知の催しに小規模出店を続ける。出張輪島朝市発起人の一人である同組合の橋本三奈子さん(62)は「金石の皆さんは地域を挙げて輪島朝市を受け入れてくれて感謝しかない」と話した。

 実行委事務局長を務める加賀建設の鶴山雄一社長は「輪島朝市との縁を大切にし、今後もいろいろな形で復興のために協力していきたい」と述べた。