北陸新幹線の敦賀延伸後、初の大型連休(GW)が終盤を迎えた。延伸効果によって、お隣・福井県のにぎわいや混雑ぶりはいかほどか。Uターンラッシュが始まった5日、終着の敦賀駅と福井駅を訪ねると、熱気にあふれ返っていた。(社会部・土田雄山)

 午前8時40分金沢発の北陸新幹線「つるぎ」に乗り、同9時半に敦賀駅に降り立った。新幹線と在来線を結ぶ全長200メートルの2階コンコースは人がまばら。意外と閑散としてるな…と思ったのもつかの間、次の「つるぎ」が到着すると、一気に人だかりに包まれた。

  ●最短8分、乗客は全員足早

 つるぎは敦賀駅で大阪方面の特急「サンダーバード」、名古屋方面の「しらさぎ」と接続する。乗り換えは最短8分。乗客は全員足早だ。

 誘導業務に当たる警備員長谷川達也さん(52)に聞くと、大型連休後半初日の3日は特急ホームに降りるエスカレーター待ちの列が50メートルほどできたといい、長谷川さんは「普段なら乗り換えは余裕ですが、連休中はかなりギリギリの人もいます」と話した。

 試しに「つるぎ」から「しらさぎ」への乗り換えを模擬体験してみた。移動中はキャリーケースを携えた家族連れに囲まれ、改札では切符の入れ間違えなのか前の客が立ち止まり、改札を抜けるのに1分半ほど要した。結局、6分半で着いたものの、内心ハラハラさせられた。

 ただ、思ったより混乱は少なかったように感じた。JR西日本金沢支社によると、連休中は駅員を10人ほど増員し、警備員約30人も配置して案内を強化したのが奏功したよう。金沢旅行に向かう大学生友成颯(そう)さん(20)=神戸市=は「ネットに乗り換えがギリギリと書いてあった」とのことで、あえて新幹線を1本遅らせたという。乗客の心掛けも混雑緩和につながっているのかもしれない。

  ●福井駅は関東客多く

 次に向かったのは福井駅。この日の福井市の最高気温31・0度通りの熱気だった。駅構内の土産街は8メートルほどレジ待ちの列ができ、「おみやげ処福井」の熊切理英店長は「連休中の売り上げは普段の1・5〜2倍」とほほを緩ませた。

 埼玉県から家族と新幹線で訪れた小倉心咲さん(10)は念願の福井県立恐竜博物館(勝山市)を訪れ、縫いぐるみを手に笑顔。父の誠さん(41)は「新幹線が延伸しないと来られなかったかも」と声を弾ませた。

 駅構内にあるふくい観光案内所の職員によると、延伸後は関東からの来訪が関西客を上回っているという。午後2時過ぎ、構内にある名物「立ち食いそば」の店内は遅い昼食をとる客でいっぱい。自分も越前そばをすすりながら、新幹線の力をまざまざと感じた。