氷見市芸術文化館で開催中の「お菓子の美術館〜渡辺おさむスイーツアートin氷見〜」(富山新聞社、北國新聞社主催)の会場で販売されている氷見市の菓子店などのスイーツが人気を集めている。本物そっくりの「お菓子」で表現した作品を鑑賞した後に、本物に食指を伸ばす来場者が次々と買い求めている。展覧会が消費喚起に一役買い、スイーツを食べて幸せな気分に浸る光景が広がっている。

  ●19店の銘菓、50品目以上

 会場には「お菓子の美術館」アンバサダーで七尾市出身の世界的パティシエ辻口博啓さんによるスイーツをはじめ、氷見や富山、高岡、黒部、小矢部、金沢、長野県安曇野市の19店の銘菓50品目以上が並ぶ。

 思わず手にとって食べたくなる作品を観覧後にお菓子やスイーツを買い求める来場者が後を絶たず、品切れになって追加注文するケースが相次いでいる。

 地元氷見市では山岸ちまき本舗(十二町)の「きな粉みたらし団子」や、きんつば本舗次郎平(大野)の「きんつば」、和洋菓子司さか志゛り(鞍川)の「焼きドーナツ」、菓子処山崎(幸町)の「パート ド フリュイ」、和洋菓子店ニューちどり(上泉)の「エゴマアザラシ」などが人気を集めている。

 さらに辻口さんが監修する「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」(七尾市和倉町)の「YUKIZURI」や、老舗和菓子店「竹林堂本舗」(富山市中央通り)の「善次郎 糀フィナンシェ」などの評判も上々という。

 山岸ちまき本舗の山岸薫店長は「展覧会の帰りに来店する県外のお客様も多い。店を知ってもらえるのは大変ありがたい」と話し、今後にも期待を寄せた。

 きんつば本舗次郎平は名物のきんつばに加え、お菓子の美術館に合わせてイチゴジャム入りのどら焼きの新製品を開発した。加野金次郎社長は「県内外から訪れるお客様に、きんつばとともに新商品のどら焼きも広まってほしい」と話した。

  ●GW明けも家族連れ

 「お菓子の美術館」は8日、大型連休中に勤務し、連休明けの休日を利用して観覧に訪れた家族連れらがゆっくりと「夢のある世界」を楽しんだ。

 家族3人で訪れた高岡市波岡の大代主剛さん(28)が、本物そっくりのスイーツやクリームで装飾された動物が並ぶ「お菓子の森」や、全長4・5メートルのドラゴンなど「お菓子のファンタジー」を見て回り「見たことがない作品で驚きの連続」と感想を語った。

 連休中は仕事でこの日は休みが重なって家族3人で訪れた氷見市窪の会社員大杉真優佳さん(25)は「細かくお菓子で表現されている」、弟の晃生さん(21)も「色鮮やかで食べたくなる」と話した。名画や彫刻を再現した「お菓子の美術館」で豆大福などで再現した絵画に、母のさとみさん(52)は「豆大福食べたくなっちゃうー」と漏らし、笑顔を浮かべた。