先月、バレエの国際コンクールで、2度目のクラッシック部門1位に輝いた札幌市の山田優七さん。類まれな才能と人並外れた努力で夢を追い続ける12歳の魅力をお伝えします。

この春、札幌市内の中学校に入学した山田優七さん。新たな学校生活に緊張するどこにでもいる12歳の女の子…のようにも見えますが、この数日後、世界の舞台で大きな注目を集めることに。

物心ついたころから、音楽に合わせて踊ることが大好きだった優七さん。バレエを始めたのは7歳の頃。

山田優七さん:「YouTubeを見ていて、たまたまバレエの動画が流れてきて。見てみたらすごくきれいで、衣装も真っ赤でキラキラしていて。目を輝かせて踊っていたから、いいなって思って」。

優七さんの母親:「(バレエは)お嬢さまの習い事というイメージで、習わせたくても習わせられるんだろうかって最初は思った」。

憧れのバレエを教室に通い始めた優七さん。1年後には頭角を現し、道内のバレエコンクールで優勝しました。

講師・小林絹恵さん:「生まれ持った素質、スタイルや柔軟性、真面目で本当に努力家で、でも本人は努力と思っていなくて、全部当たり前にやっているんだと思うんですけれど、それをずっと継続して続けられる子」。

生まれ持った才能と、人並外れた努力。レッスンがない日も自宅で練習を重ね、バレエを始めてわずか3年で、世界一の座を射止めました。若手の登竜門と言われるバレエの国際コンクール「ユース・アメリカ・グランプリ」のクラシック部門で、1位を獲得したのです。

優七さん:「自分で考えて次のレッスンにはちゃんとこうするとか、来年までには絶対こうするとか、出来ているようになるとか、目標を立ててやるようにしています」。

去年札幌で開かれた「くるみ割り人形」の公演では、メインキャストの1人に抜てきされました。プロのバレエダンサーと一緒に踊るのは、初めてのこと。

優七さん:「こういうパドドゥ(男女2人の踊り)の振り付けはすごく難しい。この年齢で普通のレッスンでやらないので、最初は苦戦しました」。

12月の本番では、魔法の世界を旅するクララ役を見事に演じ切り、観客を魅了しました。

公演から3カ月。優七さんは次の目標に向け、練習に励んでいました。2年前、クラッシック部門で1位に輝いた世界大会に、再び挑戦することにしたのです。

優七さん:「またあの舞台に立てるんだなっていうのが本当にうれしくて、周りの人たちも頑張ってって応援してくださるので、それに応えるというか、自分の踊りで感謝の気持ちを伝えたいなって思いました」。

出発まで、およそ2週間。前回1位を獲得したことで期待と注目が集まる中、優七さんはこれまでにない「焦り」を感じていました。

特に力を入れていたのは、優七さんが苦手とするコンテンポラリーダンス。クラシックバレエとは異なり、自由自在に体を使って踊り、表現の豊かさが重要視されます。大会には「コンテンポラリー部門」もありますが、2年前は入賞することができませんでした。

優七さん:「クラシックは、ちゃんと基礎とか決まりがある。コンテンポラリーは決まりがなくて、でもちゃんと自分で表現するから、どう表現するかとか考えないといけないから、そこは難しいです」。

思うように踊ることができず、悔し涙を流す場面も。

優七さん:「あんまりうまくいかなかった。全体的に、ちょっと(練習が)足りなかった。あと1か月切っているから」。

講師・小林絹恵さん:「違う山田優七を出すための作品なので。優七がもうちょっとかみ砕いて、自分をどう表現するかなので。焦る気持ちも分かるけれど、もうやるって決めたらやるしかないので」。

出発前日、最後のレッスン。悔し涙を流したあの日以来、自宅でも1人、練習を繰り返してきました。その成果を見せます。

講師・小林絹恵さん:「絶対できるから。いつも通り自信を持って。今回付いていけなくて申し訳ないけれど、日本からパワーを送っているので」。

優七さん:「2週間前は、何を考えて表現したらいいんだろうとか、なかなか練習してもなかなかしっくりくる踊りができなかった。研究して今日良い踊りができたので良かったなって、ちょっとほっとしています」。

そして、迎えた出発の日。

講師・小林絹恵さん:「自分を信じて楽しんで、絶対できるから」。

(手を振って旅立つ優七さん)

(ユース・アメリカ・グランプリ/ニューヨーク)

優七さん:「本当の緊張の舞台で、今までは早く舞台に立てる楽しみとか、胸が熱くなる緊張だったけれど、今回はちょっとドキドキ、体が震える緊張は初めてのコンクールぶりだったので」。

結果は、9歳から11歳の女性クラシック部門で1位。課題だったコンテンポラリー部門では、世界大会で初めて上位12人に選ばれ、入賞しました。

10日間の日程を終え、無事帰国。大きな舞台で結果を出した優七さんを、家族みんなで出迎えました。

優七さんの母親:「本人は言わないけれど、いろんなプレッシャーが優七の中にはあったと思うんですけど、頑張ったね」。

優七さん:「家族や先生などの周りの人たちが支えてくれたおかげで立てた舞台だから、感謝でいっぱい」。

大好きなバレエで、夢を追い続ける12歳。その先に広がる可能性に、世界が注目しています。

優七さん:「これからも頑張ります」。