学生たちのにぎやかな声が響く。茨城キリスト教大(茨城県日立市)の学生食堂は昼時になると、何百席と用意されたテーブルはほぼ満席になる。グループで食事をしながら、会話が弾んでいる。

「やっぱり食事はにぎやかに食べる方がおいしいですよ」。同大4年の中村萌那美さん(21)はほほ笑む。

この日は、就職活動や4年生の過ごし方などを相談しようと、キャリア支援センターを訪問。食堂に立ち寄った。

メニューを注文する学生の列に視線を向け、「コロナ禍を経験したからこそ、人とつながっている大切さを感じている」。

入学した2021年はコロナ禍の真っただ中だった。授業の大半はリモートで実施。通学する機会すら奪われた。

友人をつくるきっかけさえ見つからず、「人間関係ってどうやって築いていくんだっけ」。そんな孤独感さえあった。

新型コロナが5類に移行して、間もなく1年になる。感染対策が緩和されたことで、学校生活は少しずつ変わってきた。

講義はオンラインから対面方式に戻った。画面越しではなく、教員や学生たちと顔を合わせてのやりとり。提出物などは引き続きオンラインを活用する。効率の面では、改善されたと感じる面もある。

「学校に人が戻ったことで、活気が出た。ようやく思い描いていた大学生活を過ごしている」

外出自粛への意識が薄れ、最近は同級生らと気軽に食事や遊びに出かけ、行動の幅が広がった。

あらゆる面で緩和されたとはいえ、就職活動でも影響を受けた。「先輩から面接は全てオンラインと聞いていたため、対面はすごく不安だった」

リクルートの研究機関が大学生に行った調査によると、1次面接が「オンラインのみ」と回答したのは23年卒の約41%に対し、24年卒は約34%に減少した。最終面接も同様の傾向で、オンラインを活用しながら、対面形式を再び採用する企業が増えた。

同大のキャリア支援センターでも、対面形式での面接が戻りつつあることを踏まえ、対面に備えるよう学生にアドバイスする。

就職活動中の中村さんは「相対する面接はオンラインと比べて移動の負担はあるが、会社や働く人の雰囲気を感じることができる」とプラスに捉える。

「面と向かって人と話すという当たり前のことが、本当はありがたいものなのですね」。残り1年を切った学生生活は「一つ一つ、人との縁を大切にしていきたい」。