沖縄に帰還する琉球ゴールデンキングス、取り戻した“二つの武器”を手にCS準決勝へ
チャンピオンシップ準々決勝で激しいディフェンスを貫いた琉球ゴールデンキングスの小野寺祥太=有明コロシアム©琉球ゴールデンキングス

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Bリーグの琉球ゴールデンキングスが、沖縄に帰還する。

全60試合を戦うレギュラーシーズン(RS)の上位8チームが、トーナメント形式で王者を争う2戦先勝方式のチャンピオンシップ(CS)。準決勝まではRSにおける上位チーム側のホームが会場となるが、キングスは最終盤で西地区2位(全体5位)に沈み、準々決勝のホーム開催権を逃した。各カードとも上位側が勝ち上がることが多いため、準決勝もアウェーとなる公算が大きかった。

しかし、全体4位のアルバルク東京(A東京)と戦った準決勝を2勝1敗で勝ち上がると、隣のカードの宇都宮ブレックス(全体1位)対千葉ジェッツ(同8位)において千葉Jが下剋上を起こし、18日から始まる準決勝のキングス対千葉Jは沖縄アリーナで開催されることが決定。過去2シーズン、沖縄アリーナで行われたCSの試合でキングスが負けたことは一度もない。3シーズン連続となるファイナル進出に向け、追い風が吹いている。

準決勝は18日午後4時5分から第1戦、19日の同じ時間から第2戦を行い、1勝1敗となった場合は21日午後7時5分から最終第3戦を実施する。

大一番を翌日に控え、キングスは17日午後にオンライン会見を開いた。準々決勝においてキングスが取り戻した“二つの武器”を念頭に、3月の天皇杯決勝で69ー117という歴史的な大敗を喫した宿敵・千葉Jとの大一番を展望する。

桶谷HC「ビッグマンの強度が間違いなく上がった」

沖縄に帰還する琉球ゴールデンキングス、取り戻した“二つの武器”を手にCS準決勝へ
CS準々決勝で、ゴール下で体を張り続けたアレックス・カーク©琉球ゴールデンキングス

今シーズンの平均失点がリーグで2番目に少ない70.0点で、RSは48勝12敗と大きく勝ち越した難敵・A東京と対戦した準々決勝、キングスは2度の延長にもつれ込む死闘となった第1戦を81ー80で先勝した。第2戦は69ー73で落としたものの、最終第3戦を58ー57で競り勝ち、6大会連続となるCS準決勝進出を決めた。

勝敗を分ける最大の鍵であったゴール下のリバウンド争いで終始体を張り続けたほか、もう一つ印象的だったのは、ディフェンスの強度がRSに比べて格段に上がったことだ。チームNO.1ディフェンダーである小野寺祥太を中心に前線から激しいプレッシャーを掛け、今村佳太らフォワード人、ジャック・クーリーらビッグマンも簡単にボールを持たせない激しいディフェンスを貫いた。

沖縄に帰還する琉球ゴールデンキングス、取り戻した“二つの武器”を手にCS準決勝へ
オンライン会見で質問に答える桶谷大HC=17日

桶谷大HCに「CSに入る前に何か変化を加えたのか?」と問うと、以下のような返答があった。

「特にはないですね。僕が何かをしたというよりは、選手たちが自分たちで必要だと思ってやったことだと思います。小野寺に関しては以前からずっとやっていましたが。あと外国人選手のインテンシティ(強度)は間違いなく上がったなと思いました。一つ一つのディフェンスでハイポジションに立つという部分はレギュラーシーズンからずっとやり続けてきたことなので、それがいい結果として、できるようになってきてるんじゃないかと思います」

RSにおいては、相手がスクリーンを使ってディフェンスのズレをつくろうとした時、ビッグマンの位置が中途半端で、そのまま簡単に3Pを打たれたり、ゴールに向かう相手のビッグマンに良いパスを通されたりする場面も目立った。しかし、A東京戦ではクーリーやアレン・ダーラム、帰化選手のアレックス・カークがより高い位置でも守れるようになり、スティールから速攻に繋げる場面も見られた。

小野寺と同様に前線からプレッシャーを掛け続けた岸本隆一も、後ろに控えるビッグマンの動きが改善したことで、ディフェンスがやりやすくなる相乗効果を実感しているようだ。
 
「だいぶ違いますよね。特にキーになる選手をマークしている時は、マークしてる選手の責任が大きいように感じるんですけど、チームで守れている分、仮に相手に決められても切り替えやすいです。自分たちは責任を分け合って戦ってきたチームなので、みんなの頑張りがチームにいい影響を与えるということはすごく実感しました」

「富樫以外」を乗せないことが勝負のポイント

沖縄に帰還する琉球ゴールデンキングス、取り戻した“二つの武器”を手にCS準決勝へ
CS準々決勝でベンチから声を出す桶谷HC©琉球ゴールデンキングス

この高強度のディフェンスを継続することは、千葉J戦においても大きな勝利のポイントとなる。昨シーズンから天皇杯とBリーグの決勝で3回連続で顔を合わせてきた両チーム。桶谷HCは勝った時と負けた時の違いを聞かれ、こう答えた。

 「富樫選手以外の選手が活躍した時です。正直、富樫選手はどんなにディフェンスを頑張っても活躍すると思っています。富樫選手以外の点数が伸びてくるのが一番怖いと思います」

 実際、大敗した3月の天皇杯では富樫が20得点を挙げたほか、クリストファー・スミスが26得点、ジョン・ムーニーが17得点など各選手に満遍なくスコアを許した。一方、2連勝で年間王者に輝いた昨シーズンのBリーグファイナルでは、2試合とも富樫が千葉Jのトップスコアラーで、特に2試合目は富樫の得点が突出して多かった。

 中でも、指揮官は「千葉Jはもともと富樫選手、ムーニー選手というところがしっかりしています。Xファクター(チームのメインの選手以外で勝利の決め手となる選手)としてのスミス選手は、自分たちが一番守らないといけないところだと思います」と語り、3Pとドライブで得点を量産するスミスを最も警戒している。

「最大の武器」である沖縄アリーナの大声援

沖縄に帰還する琉球ゴールデンキングス、取り戻した“二つの武器”を手にCS準決勝へ
オンライン会見でCS準決勝への意気込みを語る岸本隆一=17日

キングスのアイデンティティーでもある激しいディフェンスに加え、チームが取り戻したもう一つの武器が、沖縄アリーナの大声援だ。CS準決勝で沖縄に帰還する意義は、これが最も大きい部分であることは間違いない。選手やコーチも、ホームコートアドバンテージは常にチームとって「最大の武器」と表現するが、改めて桶谷HCにホーム開催のメリットを聞いた。

「ホームコートとしての沖縄アリーナは、日本一のファンに後押ししてもらい、一番僕たちにアドバンテージがあると思います。優勝するチームは一体感があるチームだと思っていて、それをチームだけじゃなくて、8千人以上が入る会場全体で出せる場所は沖縄アリーナが一番だと感じます」

岸本もホームのファンが見守る大一番を前に、意気込みを語る。

「苦しい時間帯というのは必ずCSでもあって、そういう時にホームでやれているかどうかは選手として大きく違います。ここ数年は、ホームで戦えているからこそ勝ち抜けていた部分が絶対にあると思います。勝ち負けもそうですけど、観てる人の胸に、心に響くような試合をしたいです」

東アジアスーパーリーグ(EASL)と天皇杯にも並行して参戦し、厳しいスケジュールの中、なかなかチーム作りが進まなかったり、RS終盤で調子を落としたりして、難しいシーズンを送ってきたキングス。しかしCSに入り、本来の強い姿を取り戻してきている。しかも準決勝の舞台は、チームが掲げる「団結の力」を最も実感することができる沖縄アリーナとなった。

舞台は整った。あとはホームで宿敵を倒し、2連覇の懸かるファイナルへの挑戦権を掴み取るだけだ。

2024年5月31日15時45分〜 沖縄県内のTV 8チャンネルにて放送!!

沖縄テレビ(8ch)では、5月31日(金)15時45分から琉球ゴールデンキングスのシーズンを振り返る特別番組を放送します‼
ぜひご覧ください!