全国に広がっている住みます芸人の笑いあふれる地域協力活動にフィーチャーした、「47都道府県エリアプロジェクト(あなたの街に“住みます”プロジェクト)」をレポートする本連載。

 大阪府八尾市を中心に、「笑って健康になってもらう」をコンセプトにした高齢者向けレクリエーションイベントを開催。「八尾健康プロジェクト」に貢献しようと精力的に活動するコンビ、大阪府住みます芸人のspan! にクローズアップ!ツッコミ担当の水本健一さんに話を伺いました。

大阪府住みます芸人
span!

水本健一(みずもとけんいち)【写真左】|1979年4月26日生まれ。大阪府八尾市出身。ツッコミ担当。2004 年入社。趣味は、バスケットボール、サウナ、人としゃべること。特技は誰とでもすぐ仲良くなれること。レクリエーション介護士2級保持。

マコト(まこと)【写真左】|1980年2月4日生まれ。大阪府大阪市出身。ボケ担当。2004 年入社。趣味は、サッカー・バイク・将棋・育児・ラーメン屋巡り。特技はサッカー・折り紙・将棋・けん玉。一般社団法人日本折紙協会認定 折紙講師

同期:スマイル、エハラマサヒロ、もう中学生、イシバシハザマ

住みます芸人歴:2012年4月〜
活動拠点:大阪府
主な活動:イベント企画、各種地元イベントやTVへの出演など

X(旧Twitter):@spanmizumoto
YouTube:span! 水本健一チャンネル

“笑いの聖地”大阪を、一番知っている芸人になろうと、大阪府住みます芸人に!

「僕らspan! は、二人とも大阪生まれの大阪育ちなんです。44年間大阪に住んでいます。その大阪を『一番知っている』『一番愛している』芸人の称号が欲しいと、大阪府住みます芸人になりました」。span! のツッコミ担当の水本さんが、span! がコンビで大阪府住みます芸人になった理由を話してくれました。

「大阪は、笑いの聖地で劇場も多いので、span! 以外にも大勢の芸人が住んでいますし、テレビや雑誌でも大阪の観光スポットやグルメがいち早く紹介されています。なので僕らは、なるべくメジャーな場所以外の大阪の魅力を発信しています。44年間住んでいてもまだまだ知らないスポットやグルメなど魅力があって、それを発見できるのが楽しいですね」

 大阪府住みます芸人になったのは2012年ですよね。

「はい。その頃僕らは大阪の劇場、baseよしもとで漫才をやっていました。笑い飯さん、千鳥さん、麒麟さんがトップにいるような黄金期に、1軍メンバーに入らせてもらってました。当時はbaseよしもとの番組に結構でてましたね。第30回ABCお笑いグランプリ新人賞や、第7回MBS新世代漫才アワードでの優勝など、賞レースもちょこちょこ獲らせていただいていました」

 芸人としてかなりいい流れですよね。

「いい流れでしたね。行くんちゃうか⁉ みたいな(笑)。でも、賞は獲ったのにそこから仕事が増えなかった……。大阪府住みます芸人にならないかと声をかけていただいたのはそんなくすぶっていた時期でした。

 チャレンジしてみよう、何かやってみよう、という前向きな想いで、大阪府住みます芸人になりました。全国の住みます芸人との繋がりもできてきっと楽しくなるだろうな、という期待もありました。

 とはいっても44年間もともと住んでいるまちで、住みます芸人になった前後で環境の変化はないんですけどね(笑)」

| 大阪府八尾市を中心に活動

 大阪府の中でも、特に八尾市で精力的に活動されているんですよね。

「大阪府住みます芸人としてどうしていく?となったときに、まずは地元である八尾市を盛り上げることから頑張っていきたいと相方に話をしました。そこで住みます芸人とは別で、八尾市の魅力を発信する『 やおプロモーション推進アドバイザー』就任の機会をいただきました」


「やおプロモーション推進アドバイザーの就任式で、八尾市の大松市長と撮った写真です」


「名刺も作っていただいて、市内外のイベントで配ったり、自分のYouTubeで八尾市の魅力を発信したりもしています」

【大阪府八尾市】
「八尾市は豊かな自然がありながら、大阪市内まで10分程度とアクセスがよく、八尾空港もあって、都市部で働く人たちも生活しやすいまちです。歴史的な文化財もたくさんあって、市東部にある高安山山ろくは、歴史遺産の宝庫です。なかでも、中河内最大の前方後円墳の心合寺山(しおんじやま)古墳や、200基以上もの横穴式石室墳が集中する高安千塚(たかやすせんづ か)古墳群は全国的にも知られています。そして、中小企業を中心に、高度な技術力と製品開発力を誇る『ものづくりのまち』でもあります! 例えば、歯ブラシの生産量が日本一! そのほかにも、金属製品や電子機器などの最先端技術に至るまで様々なものが八尾市で作られているんです。特産品として、八尾えだまめ、八尾若ごぼうがあります。河内音頭のふるさとでもあり、夏には世代を超えて熱く盛り上がります! 」

「一日警察署長をさせてもらったり、広報誌の表紙を飾られせていただいたり、八尾市ではいろいろなお仕事をさせていただいています。地元なので、仕事をさせてもらっているなかで、昔の友達に偶然会って、そこから新しい仕事に繋がるなんてこともあって、そういうのも嬉しいですね」

大阪府八尾市の広報誌の表紙をspan!の二人が飾りました。
「八尾市の広報誌『やお市政だより』の表紙に出させていただきました!」

「八尾市のYouTubeチャンネルにも出演。八尾にゆかりがある、聖徳太子と物部守屋の紹介をしました」

「大阪府住みます芸人になって、八尾市以外にも大阪のいろいろな地域のイベントにMCとして呼んでいただけるようになりました。変わったイベントだと、守口市の『守口大根長さコンクール』とか!住みます芸人の仕事は、知らない大阪の面白さを発見できる喜びがありますね」

「僕たちならではのことでいくと、相方のマコトが折り紙講師の資格を持っているので、子どもたち向けの『折り紙ワークショップ』も各地で実施してます。マコトが子どもが生まれたころに関西のイベントで折り紙をやったんですけど、それが、子どもたちに好評で。それきっかけで資格も取って、以降各地でワークショップをやっていました。僕は全身タイツをきて『折り紙マン』というキャラになっています。子どもたちに、折った折り紙に“願いごと”を書いて僕の体に貼ってもらう、という役です(笑)」

「笑って健康になってもらう!」という地域貢献を八尾市から

「大阪府住みます芸人になって、八尾を盛り上げることを頑張りたいと決めたとき、八尾市の市長とお話しできる機会をいただきました。八尾市が力を入れている取り組みや、お笑い芸人として地元に貢献できそうなことを意見交換させていただきました。それを参考に、八尾市→大阪→全国を盛り上げる活動としてスタートしたのが『八尾健康プロジェクト』でした」

 八尾市では、全国的にも数少ない、保健所内に設置した健康まちづくり科学センターが、健診、医療、介護などのデータ分析にもとづいた健康づくりやフレイル予防の取り組みを推進しています。

「人生100年時代。寝たきりになったり介護を受けずに生活できる期間、健康寿命を延ばすことを地域のつながりのなかでみんなで支えあいながら目指していこうという取り組みです。実は大阪府でも、同じく健康寿命を延ばそうという『大阪府10歳若返りプロジェクト』に取り組んでいます。八尾市から、大阪府、ひいては全国に広げていけるテーマだと思いました」

 全国的に平均寿命がのびているなかで、健康寿命との差を縮めようと各自治体が力を入れています。

「実は僕、レクリエーション介護士2級の資格を持っているんです。脳を活性化させる手遊びとか、高齢者に喜ばれるレクリエーションを実施する資格です。それまでにも大阪のいろいろな施設を訪問して「介護レクリエーション』をやってきました。相方の折り紙も、脳の活性化にいいといわれているので、これまで僕ら自身がやってきたことが活かせるプロジェクトだと思いました」


「レクリエーション介護士2級を取得しました!」

「早速、八尾市をはじめ各地で行われている高齢者向けの集まりにいってみました。八尾市では高齢者向けの集まりに行って『笑って健康レクリエーション』をしたのですが、喜んでもらえましたし、僕らも楽しかったですね。アンケートで、地元の芸人が来てくれたのが嬉しかったという声を多くもらえたのも印象的でした」


「『笑って健康レクリエーション』の様子です」

| 「span! のお笑い健康カフェ」を開催!

「ご高齢の方の集まるイベントを回らせてもらって、そこでアンケートを実施すると、実際にみなさんがとても喜んでくれたことがわかりました。折り紙や運動もなんですけど、漫才が良かったという声も多かったです。高齢になると劇場まではなかなか足を運べなかったりするから、近所で見てもらえるのはやっぱり喜んでもらえるんやなと思いました」

 実際に地域の高齢者と接することで、住みます芸人としての方向性が見えてきたと水本さんは言います。

「僕たちspan! は、ご高齢の方が家から出やすくする仕組みを作っていこうと決めました。アンケートの中で、各地域が集会所などで開いている交流会『ふれあいカフェ』というワードが出てきて、それがヒントになり、『span! のお笑い健康カフェ』を実施していくことになったんです。

 高齢者の方、特に独り身になっている方の外出が減っているという話を聞いていたので、そういう方が気軽に行ってみようと思ってもらえるようなイベントです」


「第1回のspan! お笑い健康カフェは、地元のお寺、顕証寺さんで開催しました」

内容は、僕の介護レクリエーション、マコトの折り紙、漫才と盛りだくさんの2時間です。地元の方に提供していただいた、お菓子とコーヒーも付いています」

 参加者の反応はどうだったのでしょうか。

「『久しぶりにこんなに笑いました、ありがとう』と言っていただけて、やってよかったなと思いました。準備なども自分たちで行うので大変な部分もあるのですが、こういう言葉や、参加してくださった方の笑顔を見られることがなにより嬉しくて、やりがいがあります」

 span! お笑い健康カフェを全国に! 笑って健康になってもらいたい!

| 八尾市から大阪府、そして全国へ

「介護レクリエーションの資格を取ったのは、“笑いは健康にいい”といわれているから、ご高齢の方を笑わせたい、だったら普通の漫才だとスピードとか速かったりするし、もっと笑ってもらえるやり方があるんじゃないか?と思ったからなんです。そういうきっかけで僕が学んだことと、相方の折り紙とが今こういう形で地域貢献に繋がっていることは嬉しいですね。

 span! お笑い健康カフェは、企画や準備も自分たちでやっているんですが、たくさんの地元の方が協力してくれています。八尾市を愛し、八尾市を盛り上げようと活動している方にたくさん出会うことができて、そういった方と意見交換をしながら進めています」

 最後に今後の目標を伺いました。

「まずは八尾市から。八尾健康プロジェクトを八尾市の皆様に知ってもらえるように『span! お笑い健康カフェ』をたくさん実施していくことです。今年は規模を拡大して、span!の八尾健康まつりのようなイベントも検討しています。あとは、今は場所を借りてイベントを開催していますが、今後、僕らの拠点みたいなのを持てたらいいな、とも考えています。僕らのイベントだけではなくて、誰かに来てもらってワークショップをやったり、八尾市の方々の交流の場になるような場所を作れたらなと。そんな風に八尾市を盛り上げていきたいと考えています。

 一番の目標は、この取り組みを大阪府、さらに全国に広げていくことです! 全国各地で『span! お笑い健康カフェ』をやって、日本中の方に笑って健康になってもらいたい!

 そして僕たちspan!のことも知ってもらって、大阪でのイベントなどで引っ張りだこの芸人になりたいです!」