第71回春季東海地区高校野球三重県大会(県高野連主催、伊勢新聞社後援)で、昴学園は創部以来初めてとなる県大会での勝利を挙げると、その後も強豪校を破って3位となった。同校を率いるのは、夏の県予選で10年連続初戦敗退だった白山高校を平成30年夏に初の甲子園出場に導いた東拓司監督(46)。昨夏の県大会後に昴学園の監督に就任した東監督の「下克上」第2章はすでに始まっている。

 昴学園は夏の県予選での勝利から10年以上遠ざかっていたが、東監督の上野高時代の教え子である高橋賢前監督(31)の指導で力を付けてきた。昨春、南地区予選を勝ち抜き、初戦で破れたが、初めて県大会に出場した。

 昨夏の県予選では桑名工に勝ち、17年ぶりに1勝を挙げた。大会後、東氏が監督に就任。昨秋の南地区予選を2位で通過したが、県大会初戦で宇治山田商にコールド負けを喫していた。

 今大会は1回戦で相可に勝って県大会初勝利を挙げると、桑名工と三重を破って4強入り。準決勝で菰野に敗れ東海大会出場は逃したものの、3位決定戦で宇治山田商に秋の雪辱を果たした。

 東監督が「上に来たら河田で勝負と考えていた」と期待を寄せる背番号10の2年生右腕河田虎優希が投打に躍動。準決勝、3位決定戦を含む3試合で完投し、三重戦での同点本塁打を含めた全5試合で安打を放った。

 試合ごとに成長していくチームは2回戦以降の3勝すべてで逆転勝ち。同地区の強豪校、三重と宇治山田商を破り、3位決定戦後の取材では「ずっと追いかけて目指してきたのでうれしい」と率直な気持ちを明かした。

 一方で、昨年まで夏の県予選での一勝が目標だったチーム。「おなかいっぱいになっていないかが気になる」と独特の表現で、選手たちが今大会の結果に満足せず、さらなる高みを目指すよう期待する。

 この春に29人の新入部員を迎え、約60人の大所帯に。夏の県予選第3シードを獲得し「下克上」を期待する声もある。それでも東監督は「まだ上位のチームとは差がある。守備も打撃も鍛えていきたい」と夏に向けて成長を誓った。