POD・電子出版サービス事業を手掛けるPUBFUN(東京都千代田区)が提供する「パブファンセルフ」は、出版社を通さずに完全個人で、簡単にAmazonや楽天ブックスで本を出版できるサービスだ。利用料は無料。

今回は、3Dアバター「VR記者カスマル」の画像を使用し、写真集を作成した。

すぐ作れるのに、きれいな仕上がり

パブファンセルフの中のサービスのひとつ「パブフォト」は、画像データがいくつかあれば、写真集を自由に作れる。「パブファンセルフのイージーモード」という位置づけなので、制作ハードルはさらに下がる。スマートフォン(スマホ)でも操作でき、スマホで撮影した写真も使えるという。

まず「パブフォト」のサイトにアクセスし、会員登録する。完了するとログインできるようになる「会員画面」で、「イージーモード」を選択。最初に写真集のサイズを決めたら、さっそく写真をアップロードする。最低24枚あればよい。

やるべきことは、これでほぼ終わり。特別なスキルは求められず、体感的に操作できた。

会員画面のホーム画面に仕上がりのイメージが表示され、制作した本の「書籍情報」から、書籍名や値段を設定し、申し込むと本が完成する。そのままAmazonや楽天ブックスで販売ができ、売れると登録した銀行口座に売り上げが入ってくる仕組みだ。制作費はかからず、在庫を抱える不安もない。

完成した「VR記者カスマル写真集」はこちら。

表紙はツルツルで、アップロード画像のイメージがきれいに反映されている。なお「パブフォト」では、裏表紙に画像を印刷できない仕様なので、真っ白だ。

中の紙も、一枚一枚がツルツルしていて触り心地が良い。細かな背景にもムラや粗はなく、端から端まで文句なしの仕上がり。

なお今回は、24枚の画像でこんな話を作ってみた――「VR記者カスマル」が、ジェイ・キャストの常設メタバース空間「バーチャ場」に突如現れたブラックボールに飲み込まれ、飛ばされた先で取材の旅に出る。時折、危険な目にも遭いながら、特ダネの影を追いかけるカスマル。

再びブラックホールに飲み込まれ、見知らぬ海岸に打ち上げられたものの、最後はバーチャ場へ無事に帰ってこられたようだ。

「初期費用が不要」である理由

そもそもなぜ、無料で作成ができるのか。PUBFUNサービス部副部長・小笠原弥子さんに聞いた。

「パブフォト」は、読者からの注文に応じてAmazonや楽天ブックスなどのPOD販売書店内で1冊ずつ印刷製本して届ける「プリントオンデマンド(POD)」という技術を採用している。

リアル書店で販売する一般的な出版方法は、大量に印刷して在庫を確保する必要があるため、初期費用が大きくかかる。POD出版はその必要がない。また、注文に応じて本を印刷することから、小笠原さんは「在庫負担なく品切れのリスクもなく、半永久的に販売継続できるのが特徴」と説明した。

また、出版代行という立ち位置のため、編集や校正のサービスは行っていないが、より多くの著者に利用してもらうことを目的にサービスを無償提供しているそう。自分の好きなタイミングと内容、幅広いジャンルで気軽に出版できるのも魅力だ。